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人物・文献情報データベースWHOPLUSの“人物”をテーマにしたブログです!
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  ■ 知的バラエティコラム/本日も、風まかせ!(第15回)  坂本あおい
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 『今年ももうすぐ終わりです』

  もういくつ寝ると、お正月――。そんな歌が似合う季節になってきた。この歌
 によれば、お正月には凧をあげて、コマをまわして遊ぶことになっている。今は
 見かけなくなった光景だけど、わたしの小さい頃には、まだそうしたお正月が残
 っていた。双六に福笑い。それからわたしは女の子だったから、羽子板にも夢中
 になった。羽根をつくと、カーン、コーンという音がのんびりと響き、カラフル
 な羽根が冬の空を舞う。楽しかったなあ。お正月は大人たちが一緒になって遊ん
 でくれる、スペシャルな数日間だった。
  それにもうひとつ、楽しみにしていた習慣があった。初夢を見るための儀式だ。
 毎年、一月二日になると、達筆を自負する伯父が、もったいぶった手つきで半紙
 を折って舟をつくり、そこに次の句をスルスルと書いてくれた。

永き世の遠の眠りの皆目覚め 
波乗り船の音の良きかな

 本来は、七福神の乗った宝船の絵にこの句を書いたらしい。これを枕のしたに入
 れて寝ると、いい夢が見られるのだという。

  ところで、この句を読んで何かお気づきになるだろうか? 「なかきよの、と
 おのねふりのみなめさめ、なみのりふねの、おとのよきかな」では? そう、こ
 れは上から読んでも下から読んでもおなじ「回文」になっているのだ。この「回
 文」にはファンも多いようで、仙台ではコンテストも行われているらしい。お友
 達の小学生も、以前、学校で流行っているといって、「田舎役人、肉焼かない」
 というシブイな回文を伝授してくれた。

  ならばWHOPLUSにも情報があるはず。ということで探してみると、「回
 文作家」という職業の人が見つかった。落合正子さん。《著書・著者情報》によ
 ると「長文でも無理がなく、わかりやすい回文には定評がある」のだそうだ。ま
 た大西のり子さんという方はピアニストでもあり、「音楽感性・旋律が、回文に
 新風を吹き込みました」という触れ込みで、『薔薇を手折らば―回文集』という
 一冊を出している。このタイトルには、ゲーテもきっとびっくりだ。でも、音楽
 感性を回文に生かす? わたしが思いつくのは、せいぜい「ルルルルル」くらい。
 はい、センスも才能もゼロです。

  ちなみにPalindromeといって、英語などにも回文はある。“Madam in Eden,
 I'm Adam. (エデンの御婦人よ、わたしがアダムです)”というような具合。来
 年の干支「犬」を題材にしたものも見つけた。“Dog, no poop on God!”あえて
 訳しません。ウンがつくような、つかないような……。ともあれ、皆さま、良い
 お年をお迎えください。

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  ■ 知的バラエティコラム/本日も、風まかせ!(第14回)坂本あおい
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 『トルコに出向く日本人たち』

 このほど、風まかせにトルコを旅してきた。時差ボケなわたしは、とりあえずW
 HOに「トルコ旅行」なんていう安直なキーワードをいれてみる。と、一件がヒ
 ット! わたしが旅した東南部では一人の東洋人も見かけなかったから、この国
 の芸能界で活躍している日本人がいるというのは、ちょっとした嬉しい驚きだ。

  ◎ 高野 あゆ美(たかの あゆみ) ---------------------------------------

  日大芸術学部在学中からモデルとして活動。トルコに旅行した際にトルコで
  “外国人タレント”になることを思い立ち、イスタンブールに住んで“東洋
  人モデル”として活動を開始する。平成10年出演した映画がヒットし、日本
  人女優として注目を集める。のち外国人として初めて国立劇団に入団。テレ
  ビドラマ、料理番組の司会などで活躍する
  ----------------------------------------------------------------------

 日本人のタレント=江頭2:50というとんでもないイメージが定着していたら
 どうしようかと思ったが、これでひと安心だ。高野さん、ガンバレ! 
 江頭2:50なる芸人がトルコでやらかしたことについては説明するのもアホら
 しいので、彼の「人物文献」から関連の見出しを拾うだけにしよう。

  ◆ 「日本人てこんなアホ?」江頭2:50、全裸の"怪挙"
  ◆ トルコ中を激怒させた江頭2:50
  ◆ トルコで全裸、罰金75円・江頭2:50
  ◆ 江頭2:50、トルコで脱いじゃった―国際問題に?チン芸通じず警察出頭

 品位や文化の問題はさておくとして、羽根をむしられた鶏のような寒々しい彼の
 肉体は、百歩ゆずっても目に美しいものじゃない。アレの全裸など見せられたら、
 わたしだったら罰金75円なんかじゃ許してやらないネ。

 さて、旅先のトルコ人は大人も子供も日本人に興味津々で、あちこちで「ジャポ
 ン?」と声をかけられた。写真をとられたり、道端でオバサンに熱烈ハグされた
 りもして、ちょっとした有名人にでもなった気分だ。
 シリア国境に近い、歴史の深い山間の町を訪れた時も、やはり前後左右から「ジ
 ャポン、ジャポン」と聞こえてきた。ところが、めずらしく「チン(中国人)?」
 と囁くオヤヂの声がある。しかし、よーく聞いてみると、その語を早口で二度ず
 つくり返しているではないか。もしや! 振り返ってみると、その笑顔はニコニ
 コというより、案の定、ニヤニヤだった。
 こんな場所まで出向いて、あの言葉を伝えた日本人がいたのだろうか? それと
 も――? 太古より宗教や文化がそうであったように、こうした言葉も人から人
 へと伝えられ、奥地にまで広まっていくのだなあ、と妙な感慨を覚えたわたしは、
 われながらバカである。

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  ■ 知的バラエティコラム/本日も、風まかせ!(第13回)坂本あおい
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 『ハロウィンと銃とアメリカと』


  季節なのでWHOPLUSに「ハロウィン」のキーワードを入れてみたら、
 悲しい事件を思い出させられた。「トピック:米国で誤認がもとで射殺された
 留学生」服部剛丈くんの事件である。
  仮装してハロウィンのパーティにでかけた服部くんは、間違った家を訪ねて
 しまう。予定外の来訪者に警戒した家の主が、銃を向けて「フリーズ(動くな)
 !」と言うが、服部くんには彼の真意が伝わらず、さらに近づいていって射殺
 された(1992.10.17)。
  似たような事件も見つけた。俳優アンソニー・リーはハロウィン・パーティ
 に出席していた。やってきた警察をパーティの余興と勘違いしたリーは、警官
 にオモチャの銃を向ける。身の危険を感じた警官はすぐに発砲し、彼を射殺し
 た(2000.10.28)。リーの「人物文献」を見てみると、事件は日本でも多少は
 取り上げられたようだ。『週刊新潮』の見出しから、相手の警官が新米だった
 ことを知り、ますます胸が痛んだ。

  恐怖が恐怖をよび、決定的な悪意が介在しないままに殺人が起こる。一瞬の
 判断ミスが、無実の人の命を奪うという取り返しのつかない結果をまねく。銃
 に頼る社会というのは、殺人の被害者/加害者になる機会を、不必要に増やし
 ているものと想像する。
  ならば銃を規制すればいい! でも、それが簡単にいかないのがアメリカな
 のだ。銃とキリスト教と努力によって国を拓いた歴史をもつアメリカでは、武
 器を保持し武装する権利は憲法で保障されている。それに強大な影響力をもっ
 て銃規制に圧力をかける、ご存知、全米ライフル協会(NRA)の存在もある。
  NRAの公式サイトをのぞいてみると、銃の取り扱いのルールが書いてあっ
 た。「つねに銃口が安全な方向に向いていることを意識しましょう」、「人が
 いる場所に向けて撃ってはいけません」エトセトラ。そう、間違っても「人に
 向けてはいけない」のだ。「自分や大事な人を守るには銃が必要だ」という同
 協会の恐怖をあおる主張との矛盾が、なんとも皮肉だ。自分の身を守るとき、
 その銃口の先にはいったい何があるというのだろう?
  サイト上のニュースによると、NRAは、ハリケーン被災地の問題にも首を
 つっこんでいる。ルイジアナ州イースト・バトンルージュの郡保安官は仮設住
 宅を開放するにあたり、安全確保のため銃の持込を禁止したいと当局に申し入
 れた。これに対しNRAは、無法地帯と化したニューオーリンズの例を見れば、
 自己防衛のために銃が必要なのは明らかで、そうした当然の権利を侵害する行
 為に対してNRAは黙ってはいないと息巻いている。また、今回の経験により
 「リメンバー・ニューオーリンズ」なる新たなスローガンを打ち立てて、今後
 も銃の必要性を訴えていく模様だ。

  ところで、ルイジアナのバトンルージュ? 聞いたことがある地名だと思っ
 たら、めぐりめぐって、服部くんの事件の土地にもどってきたのだった。何は
 ともあれ、銃、それに天災、人災により命を落とされた方々のご冥福をお祈り
 します。

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   ■ 知的バラエティコラム/本日も、風まかせ!(第12回)坂本あおい
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 『秋刀魚に寄す』

  日ごろお世話になっている目黒区図書館の検索端末は、その名も「さんまく
  ん」。貸出券には、本を小脇に抱え、シャポーを脱いで挨拶をするお茶目なサ
  ンマの絵が描いてある。もちろん、この「さんま」は「目黒の秋刀魚」から取
  っているにちがいない。多少、悪乗りの感がなくもないが、わたしはこのキャ
  ラクターがけっこう気に入っている。
   サンマといえば、今が旬だ。江戸の人は脂が多いと嫌ったけれど、うまみた
  っぷり、栄養たっぷりのサンマを食べない手があるだろうか。焼くだけであん
  なに美味しいなんて、なんてすばらしい食べ物だろう。

  ということで、サンマ賛美の気持ちをこめて、今回は「秋刀魚」のキーワー
  ドで検索。食品関係の人のデータがずらりと並ぶにちがいない――と思ったら、
  まったく予想をくつがえす結果になった。原因は映画『秋刀魚の味』だ。ヒッ
  トしたデータのほとんどが、この映画に携わった人々のものだったのだ。
   そうした中に一人、カタカナの名前の人がいた。やはり映画の関係者かと思
  ったが、よく見てみると損保の社長さん。ギ・マルシアさんという方で、経歴
  は以下の通り。

  ---------------------------------------------------------------------
   ◎ ギ・マルシア

  実業家 アクサ損害保険社長 1949年7月29日 チュニジア生れ

  チュニジア生まれのフランス育ち。パリで小津安二郎監督の映画『東京物語』
   『秋刀魚の味』を見て日本に興味を持ち、1984年来日。10年以上製薬会社役
   員を務めた後、損保業界へ移り、アクサ損害保険社長に就任

                  (データベース「WHOPLUS」より)
   --------------------------------------------------------------------

  なるほど、『秋刀魚の味』が来日のきっかけとなったというわけだ。

  日本の作品に感銘を受けたと話してくれる外国人はけっこういる。聞いた中
  で、断トツ多く名前が挙がったのは、映画『生きる』と三島の小説『金閣寺』
  だ。わたしは当初どちらも未見、未読だったので、彼らの熱い話を聞いてあわ
  てて両作品を手に取った次第。今回も同じ展開になりそうだ。小津安二郎の遺
  作ということだし、サンマがどのようなかたちで登場するのかも気になるとこ
  ろ。近いうちに見てみよう。

  ところで、『秋刀魚の味』の英語のタイトルは『An Autumn Afternoon』だ
  そうだ。なんだかイメージが違うなあ。ベンチに座る、灰色の瞳の老人たち。
  熱をおびない午後の光が、マロニエの落ち葉を穏やかに照らす――。サンマが
  連想させる庶民の台所の風景が、どんどん遠のいていく。
   ギ・マルシアさんが見たであろうフランス語版は『Le Gout Du Sake(酒の
  味)』とのこと。なにやら男の背中をシミジミ感じさせる題ではないか。Sake
  なので舞台はいちおう日本。熱燗を手にする会社員二人。「いやあ、ついにね」
  「世の中の流れだとはいえ、まさか自分が……」「まあまあ、どうぞ」二人は
  猪口の酒をちろりと舐め、しんみりと話を続ける――。
   いやいや、ギ・マルシアさんが映画を通して見た日本の光景は、そんなもの
  ではなかったはずだ。想像は勝手にふくらむばかり。早いとこ、実物を見なく
  ては。

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  ■ 知的バラエティコラム/本日も、風まかせ!(第11回)坂本あおい
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 『名著誕生のめでたい瞬間』


  先日、某出版社のK編集長と、文芸界のニッチ市場をになう作家N氏とと
 もに食事をする機会があった。オープンキッチンから流れてくる熱気と、な
 らんだ空き瓶が物語る酒量のせいで、頭が少し朦朧となっていたので、どう
 してそういう話になったのかは、憶えていない。なにしろ気がついたら、二
 人が、詩人ダウスンの新書本を作る話で、大いに意気投合していたのである。
  となりのN氏の頭の中で、ペンがすらすらと走る音がする。
 「もう章立てを考えました。これは名著になりますゾ」
 「では明日ファックスしてください。いやあ、まさに名著です」
  大の男が二人して、笑顔ではしゃいでいる。しまいには、ダウスンの詩を
 つけたディーリアスの曲をうたいだす始末。
  傍で聞いていたわたしは、つい言ってしまった。「いやいや、これは、お
 めでたいですね。つまり、ダブル・ミーニングで」

  この二人、知識の量が半端なく、彼らの会話の森の中で、わたしはしばし
 ば迷子になってしまう。この時も、WHOPLUSがいま使えれば、と何度
 思ったことか。いつの時代の、どこの何者かがわかれば、少なくともそれが
 道しるべになるのに。恥ずかしながらというべきか、漫然と生きている凡人
 として当然というべきか、実はわたしは、ダウスンもディーリアスもよく知
 らなかった。
 ちなみにダウスンは『人物レファレンス事典』によると、以下のとおり。

    Dowson,Ernest Christopher (19世紀)1867-1900
    イギリスの詩人,短篇小説家。短篇集『ジレンマ』(95),
    『詩歌集』(96),など。

  聞いたり調べたりしたところによると、ミッチェルの『風と共に去りぬ』
 にはもともと「Tomorrow Is Another Day」という仮題がつけられていたが、
 最終的にダウスンの詩の一節からとって、あの有名な「Gone with the Wind」
 に落ち着いたらしい。同じように、『酒と薔薇の日々(Days of Wine and
 Roses)』というのも、ダウスンの詩からの引用だという。それを知って、
 ようやくダウスンへの興味が湧いてきた。悲恋、酒、早死。N氏とK編集長
 によれば、詩人はかくあるべし、という生き様をした人物だったそうだ。

  その翌日、章立てを確認したK編集長から、わたしのもとへメールが送ら
 れてきた。曰く、「すでに名著の貫禄ありです」と。本当にこの本が出版さ
 れることになるかは、まだナゾだ。でも、もしいつの日か、詩人ダウスンに
 ついて書かれた新書をどこかで目にすることがあったら、是非、手にとって
 読んでみていただきたい。それはきっと、名著ですゾ。

  ◎ 坂本あおい(サカモト,アオイ) 1971年東京都生まれ。
    文芸翻訳家。主な訳書に『アイス・ストーム』『ねじの回転 -心霊
    小説傑作選-』(創元SF文庫)がある。雑誌他にエッセイを発表す
    るなど“ホソボソ”と活躍中。

  ⇒ 次回は『わが家にWHOPLUSがやってきた』(丸山タケシ)です!

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  ■ 知的バラエティコラム/本日も、風まかせ!(第10回)坂本あおい
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 『血液型の悪夢』


 「わたしはA型だから、とても気を使うの」
 15年ほど前、友達が言ったことばである。実はわたし、彼女の気の回らな
 さにうんざりしていたところだった。そんなことを聞かされてはどうも面白
 くない。そこで遠まわしに反論してみた。
 「わたしはO型だけど、それなりに気を使ってるつもりだよ」
 でも、それに対する彼女の返事はこうだ。
 「A型のわたしに言わせれば、まだまだってかんじぃー」

  ああ、あの悪夢の一件以来、血液型はわたしのトラウマだ。べつに血液型
 占いを全否定するつもりはない。遊びとしてならたしかに面白いとも思う。
 とくに「血液型あてゲーム」は最高だ。なぜなら、たとえ一発で正解を言い
 あてても、最後まであたらなくても、答えを明かすとほとんどの人から同じ
 反応がかえってくるからだ。「ああ、やっぱり? なんだかそんな感じがし
 たよ」
  でも、「あの人は××型だから、こうなのよ!」と、抜き身の剣で他人を
 斬りまくる人、血液型を知った瞬間に、たった4つしかない分類に無理に押
 し込めようとする人には、いまだにぞっとしてしまう。

  とはいえ、このごろはだいぶ過去の傷も癒えたので、わたしはWHOで
 「血液型」をキーワードに検索してみることにした。するとヒット数は表示
 可能件数を軽くこえて5836件。血液型に傾倒する人がこんなにもいると
 は、もう世も末だ。わたしはその数字を呆然と見つめた。

  が、ヒットしたデータを見てみると、なんてことはない、生年月日の欄に
 血液型が表示されているだけの話だった。(※注)「だけの話」と言ってみ
 たけれど、考えてみれば血液型を当然のように公開している日本人というの
 も、実に奇妙だ。世界には自分の血液型を知らない人も多いのに。
  外国人では、F1ドライバーの存在が目立つのが気になる。リスクのある
 職業柄、血液型は重要なのだろうか、とちょっと縁起の悪い想像をしたりし
 て。

  ところで血液型を決めるのは、赤血球膜上にある糖らしい。ある物質を持
 っている人はA型、別のものを持っていればB型、両方あればAB型、いず
 れもなければO型だ。もしそれで性格が決まるのだとすれば、O型のわたし
 はとりわけ何の特徴もないということ? いやいや、きっとまっさらで無垢
 な性格にちがいない。とりあえず、そういうことにしておきましょう。


 ※注 WHOでは、公開を認めている人物のみ、情報の一部として血液型
    を掲載しています。

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  ■ 知的バラエティコラム/本日も、風まかせ!(第9回) 坂本あおい
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 『ご立派な職業』


 「職業・活動分野」に意外な選択肢発見!
 ――――――――――――――――――――

  外国人の友達の何人かに言われたことがある。「アオイさん、日本人っぽく
 ないね――」。そうなのか、わたしは顔は思い切り和風だけど、言動はひょっ
 としたら洋風なのかな、と思った。
  しかし、まるっきり初対面の人に二度ほど言われたことがある。「君、なん
 か宇宙人みたいだね」。まわりにいた長年の友人らが腹をよじらせて笑ってい
 たのを見ると、その指摘は意外に核心をついていたのかもしれない。
  つまりわたしは日本人っぽくないというより、地球人っぽくなかったのか。
 そんなふうに見られていたのかと思うと、少々複雑なものがある。WHOの条
 件検索画面には「日本人/外国人」のチェック欄があるが、できればわたしの
 ために、そしていずれやってくるかもしれない仲間のために、「地球人/宇宙
 人」の欄も追加していただきたいものだ。

  そんなお馬鹿なことを考えながら、他の検索条件の項目をながめていると、
 わたしは「職業・活動分野」の選択肢の中に、宇宙人の向こうを張るおそるべ
 き職業を持つ方々を発見してしまった。
  それは政治の分野のプルダウンの中にあった。「政治」「官界」「法曹」、
 そしてどんどんさがって一番下。「神(日本)」という選択条件である。
  神として活動している人を検索してみるとヒットは27件。「肩書」は3種
 類あって、「神」と「女神」と「神の子」だ。当然と言っていいかはわからな
 いが、みな〔故人〕となっていた。ついでに書くと、没年月日の欄は「不明」
 ではなく、「★」の印があって、ちょっとロマンチック。


  神様に見る“人間くささ”
 ――――――――――――――――――

  神様たちの経歴を読んでいて、わたしは舌をかみそうになった。「ひこほほ
 でみのみこと」「うがやふきあえずのみこと」「あめのたじからおのかみ」etc.。
 ああ、もっと短くて言いやすい名前なら、ギリシア・ローマの神のように、星や
 曜日の名前にしてもらえたかもしれないのに。あるいはムーサ(ミューズ)が
 music(ミューズの技)museum(ミューズの場所)などの語源となったように、
 身近な言葉に名をとどめることができたかもしれないのに。残念!

  さらに見ていくと、「温泉開発などを行った」というなかなか実際的な神様
 を発見。大国主命(おおくにぬしのみこと)である。妻の須勢理毘売命(すせ
 りびめのみこと)の経歴欄に「女性関係の多い夫に嫉妬」とあるのをみると、
 きっと大国主命は精力的で、モテモテなお方だったにちがいない。
  昔の神様はおもしろい。乱暴する、ふてくされる、セクシーダンスを踊る。
 醜くて親元に帰される女神もいれば、覗きをしてこっぴどく怒られる神もいる。
 色鮮やかで突飛で人間くさい世界に思いをはせていたら、どうしても本が読み
 たくなってしまった。ということで今、WHOで関連文献を検索中。

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   ■ 知的バラエティコラム/本日も、風まかせ!(第8回) 坂本あおい
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 「ドビッシー」への岡惚れ

 オトナになって知った真実。それは…
  ―――――――――――――――――――――――――
   この前、何年かぶりに「息抜き」と称してピアノを弾いてみた。わたしは決
  して勤勉な生徒ではなかったけれど、三歳から高校生くらいまで、無駄に長々
  とお稽古を続けていたおかげで、楽譜を見ながらチョロチョロと弾ける……は
  ずだった。
   ところが、ひどいものだ。指は動かない。楽譜は読めない。えっと、ここが
「ド」だから、シ、ラ、ソ、ファ……、あ、「ミ」だ、という調子。イライラす
  るわ、肩は凝るわ、これではちっとも息抜きにならない。気がつけば、家族の
  面々も耳障りな音にゲンナリしていた。
   考えてみれば、わたしは昔からそんなに弾けたわけではない。生意気な子供
  で、「モーツァルトなんてかったるいのは嫌だ、ドビッシーを弾かせてくれ」
  などと言って、基礎もそこそこに難しい曲に取り組んだので、結局、きちんと
  曲を完成させることもできなかった。ピアノが息抜きにならないのも、自業自
  得か。
   テクニックのなさは、知識でカバーだ。ということで、わたしのその大好き
  なドビッシーをWHOPLUSで全文検索してみた。すると、おかしい。3件
  しかヒットしない。しかも、肝心の本人が出てこないではないか! そこでよ
  うやく気がついた。Debussy の表記はドビッシーでなく、「ドビュッシー」が
  正しかったのだ。生意気な子供も正しい表記すら知らないようでは、形無しだ。
  しかも、大人になるまでそれに気づかなかったとは。ああ、今でもこんなに好
  きだというのに。

 プロフェッショナルに学ぶカタカナ表記の難しさ
  ―――――――――――――――――――――――――
   ところで、この外国語固有名詞のカタカナ表記というのは、案外くせもので
  ある。以前、James という作家に関する文献を調べようとしたときなどは、ジ
  ェイムズ、ジェームズ、誤記のジェイムス、ジェームス、古い文献をあてこん
  でゼームズ、といった具合に、なんどもキーワードを入れなおさなければなら
  なかった。
   辞書やデータベースの編纂者にとっても、これは頭の痛い問題だろう。アチ
  ラの人や土地の名前をカタカナで正確に表記するなど、土台無理なはなし。現
  地読みに近づけようとしても限界があるし、頑張りすぎれば、慣例的表記とだ
  いぶ違ってしまうこともある。
   ためしに「人物レファレンス事典」で遊んでみた。表記に揺れがありそうな
「Davidson」という名前を引いてみる。すると、有効数29のうち、もっとも多
  数派は「デビッドソン」(8件)で、次点が「デイヴィドソン」(4件)。
「デ/デー/デイ/ダ」、「ビド/ビッド/ヴィド/ヴィッド」、「ソン/スン」
  の別のいろいろな組み合わせで、計11の表記があった。乱暴にいえば、計算
  上は32通りの表記が可能なわけだ。多様な選択肢の中からひとつを選ばなく
  てはならない編纂者の方々、本当にご苦労なことです。

  ここで、わたしは遅まきながら気がついた。一般的な外国人名の表記に迷っ
  たときは、「人物レファレンス事典」を原語で引いて、各社のプロフェッショ
  ナルが出した答えを参考にすればいいのだ。これは便利! 愛しの「ドビュッ
  シー」のおかげで、ちょっと嬉しい発見をした。

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  ■ 知的バラエティコラム/本日も、風まかせ!(第7回) 坂本あおい
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 『乾杯はスポーツだ?』


  少し前に、中国旅行にいってきた。目的はズバリ「食べること」である。丸
 一日をかけた宴会に参加したり、屋台をはしごしたり、何しろ食べつづけの1
 0日間であった。
  食べるということは、もちろん飲むということでもある。そして中国で飲む
 ということは、あの「乾杯」の洗礼を受けるということでもあった。あちらで
 は自分のペースで勝手にお酒を飲むのはマナー違反なようで、飲みたいときに
 は何かしら乾杯の理由をつけて、誰かを誘って飲む。誘われたら応じる。もち
 ろん杯は乾さなければならない。

  ある日、レストラン・オーナーの中国人を交えて食事をする機会があった。
 目の前には美味しい料理がならんでいる。つまみながらお酒をいただきたいと
 ころだが、その度に乾杯をしていたらすぐに酔っぱらってしまう。しかも、い
 つ誰から乾杯に誘われるかわからない。なるほど、ここは駆け引きや計算が必
 要なのか――。すでに鈍くなった頭でそんなことを考えながら、わたしはまわ
 りの人の酒量を推し量った。
  と、そこへ新たな試練がやってきた。挨拶がしたいと言って、お店の従業員
 がゾロゾロやってきたのだ。特に女性従業員は、唯一の女性のわたしを見つけ
 ると、近づいてきてヒョイと杯をあげる。
  おお、きたきた。それも黄酒、白酒のダブルで乾杯ですか。
  遅れをとるまいと、わたしも急いで二杯立て続けに飲みほす。すると相手は、
 試合を互角に戦った相手におくるようなすがすがしい笑顔で、「謝々」と挨拶
 をしてくれた。しかし、ほっとする間もない。うしろには次の従業員が杯を手
 にひかえている。
「これは歓迎されているんでしょうか、それともいじめられてるんでしょうか?」
 同席の日本人に聞くと、「両方じゃないの?」というのん気な返事。わたしは
 仕方なく腹をくくって、なんとか最後まで怒涛の乾杯を戦い抜いた。
  一団がこれまたすがすがしく去っていき、わたしがある種の達成感にひたっ
 ていると、オーナーがニヤニヤして何かを言っている。通訳してもらうと「彼
 女、よく飲むね」と言っているとのこと。そんな、笑う前に乾杯を辞退する方
 法を教えてくださいよ、もう。

  旅の余韻さめやらぬわたしは、今回の旅を象徴する「中国」「酒」のキーワ
 ードをWHOPLUSに入れてみた。すると、このほど新たにWHOに加わっ
 た「人物レファレンス事典(外国)」には、紀元8世紀までの歴史上の中国人
 6人がならんだ。酒にふけり国を破滅させた人などがチラホラ。みなさん、お
 酒はほどほどに。
  ところで面白いことに、この方面の人物については、各種の「事典」よりも、
 広辞苑、大辞林の「辞典」のほうが意外によくカバーしている。今度この手の
 調べものが必要な時には、慌てず騒がず、まず両「辞典」を引いてみることに
 しよう。(あ、その前にWHOPLUSで調べてみればいいのか)。
  6人のうちの1人、儀狄[ぎてき]という人物は、大辞林に拾ってもらえな
 ければ、データベースからあやうく漏れてしまうところだった。「夏のとき、
 初めて酒を造ったとされる」という、ありがたい御仁なのに。危なかったです
 ね、儀狄さん。今夜はあなたに乾杯といきますか。

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  ■ 知的バラエティコラム/本日も、風まかせ!(第6回) 坂本あおい
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 『この一冊にくびったけ』

   古今東西、一番のベストセラーは聖書だといわれる。ミッションスクール
  に通っていたわたしの手元には、数えてみると3冊もあった。学校を離れて
  からも、意外と聖書の出番は多い。英米の文学には、うっかりすると聖書の
  引用が潜んでいるので、元になった話や句を確かめる機会がけっこうあるの
  だ。
   この本(Bibleは単に本という意味らしい)は読んでみると案外おも
  しろい。
   特に旧約聖書には、びっくりするような記述がつぎつぎ出てくる。人間と
  は思えないほど長命な人がゾロゾロいるかと思うと、思わず顔を赤らめてし
  まう赤裸々なシーンがあったり。そういえば破廉恥なあんな言葉や、過激な
  こんな言葉も、語源は聖書だ。

   そんなこんなで、わたしの聖書はぼろぼろになっている。しかし、負けな
  いくらいぼろぼろで、なおかつ、家族にも大人気の一冊がある。高校で配布
  された社会科の副教材『総合 新世界史図説』だ。タイトルのとおり、先史
  時代から現代までの年表や系譜、勢力地図、時代を代表する芸術の写真など、
  あらゆる歴史が「ヴィジュアル」にまとめられた一冊。授業を聞くのに飽き
  たとき、わたしはどれだけこの教材のお世話になったことか。
   けれどこの本が本領を発揮したのは、むしろわたしが卒業をしたあとだ。
  ジェームズ、ウィリアム、アンリ、シャルル……? 歴史小説を読んでいて
  次々出てくる人名に頭が混乱したときも、この一冊があればスッキリ解決。
  地図がたくさん載っているので、旅の計画づくりにも役に立つ。この便利さ
  が家族に知れてしまってからは、本はもう引っぱりダコで、みんなが好き勝
  手な場所に持っていくものだから、しょっちゅう行方不明になる始末。いよ
  いよ最近では表紙がぶらぶらになって、あわれ、瀕死の状態になってしまっ
  た。仕方がない、そろそろ二代目にその座を譲ってもらうとするか。

   でも買い換える前に、この教材をつくった会社の方に是非ともお礼が言い
  たい。いろいろな場面で、これほど健気に尽くしてくれた本は他にはなかっ
  た。
   表紙を見ると「帝国書院版」と書いてある。WebWHOで調べてみると、
  この会社の関係で載っていたのは編集者の今井秀幸さん、社長の後藤孝之、
  社長の宮川暢三さん。あれ、社長が二人いる? まあ細かいことは気にしな
  いとして、みなさん、すばらしい一冊をありがとうございました。
   この十数年間には歴史上の新たな発見や解明があって、おそらく教材に載
  る歴史も、少なからず変化したはずだ。あわれな姿に成り果てた先代を思う
  と胸が痛むが、二代目との出会いに、ひそかに胸をときめかせているわたし
  であった。

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