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人物・文献情報データベースWHOPLUSの“人物”をテーマにしたブログです!
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  ■ 知的バラエティコラム/本日も、風まかせ!(第5回) 坂本あおい
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 『実はわたしは××が好き!』

   わたしの好きな言葉は「朝三暮四」だ。「目先のことにこだわり、結果
  は同じになると理解できないこと」また「言葉たくみに騙すこと」。そう、
  ちっともよくない意味である。でも由来となった故事のほうは、実はほの
  ぼのとした話なのだ。
   むかし狙公という人がいて、飼っているサルをとても可愛がっていたの
  だが、餌を買う金に窮したため仕方なくサルに尋ねた。「餌を朝三つにし
  て、晩に四つにするが、足りるか」。するとサルは怒った。「ならば朝四
  つ、晩三つでよいか」。するとサルは喜んだ、という話。このときのサル
  の反応がいいのだ。「衆狙皆起而怒(サル、みな立ちて怒る)」、「衆狙
  皆伏而喜(サル、みな伏して喜ぶ)」。サルたちの一生懸命な様子は、想
  像してみるとたまらなくラブリーではないか。朝三暮四と聞くだけで、わ
  たしの中には自動的に温かい感情がわいてくる。
 
   そう、わたしは大のサル好きなのだ。特に人間との境界に挑む研究所の
  類人猿は、見ていて飽きることがない。たとえば有名なところではボノボ
 (別名ピグミーチンパンジー)のカンジ。テレビで特集されたこともあるの
  で、名前をご記憶の方もいらっしゃるだろう。石器のような道具を作った
  り、キーボードを介して人間と会話をしたりする。妹のパンバニーシャも
  すぐれた能力を発揮しているし、その息子のニョタくんは、言語訓練を受
  けたサルの二世代目として大注目株だ。
   そんなサル好きのわたしは、ふと、WebWHOと勝負してみることを
  思い立った。「ボノボ」で検索をしてみて、もし知らない情報がわんさか
  出てきたとしたら、サル好きとしてわたしは失格だ。サル好きを名乗るの
  をやめて、修行の旅に出よう。さて、結果やいかに。

   ヒットしたうち無関係なものを除外すると、全部で5件になった。
   スー・サベージ・ランボー博士はカンジの育ての親。もちろん知ってい
  る。3人の日本人は、いずれも京都大学勢だ。さすがはチンパンジーのア
  イでも有名な、かの霊長類研究所を有する大学だけある。5人目のフラン
  ス・ドゥ・ヴァール氏は、著書には見覚えのあるものもあったが、本人の
  名前は知らなかった。
   ということで、勝負は互角に終わった(独断による判定)。サル好きの
  道を極めるために、リストにあった執筆文献を積極的に読むことにしよう
  と、志をあらたにしたわたしである。

   ところでわたしは悩んでいる。スー博士やカンジのいる研究所に25ド
  ル寄付すると、 Great Ape Trust(大型類人猿トラストの意味)と書かれ
  たキャップがもらえる。サル好きの勲章としては、悪くない。でも頑張っ
  て100ドルを寄付すると、そのほかにボノボの本や研究ジャーナルがも
  らえるのだ。とはいえ75ドルの差は大きい。うむ、どうするべきか。

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  ■ 知的バラエティコラム/本日も、風まかせ!(第4回) 坂本あおい
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 『書評家は賞金1200万円の夢をみるか?』


  今年も前期分の直木賞、芥川賞がでそろった。芥川賞をとった阿部和重さん
 の「新人に与えられる賞をもらうのは複雑」というコメントが、わたしには印
 象的だった。
  さて、かならずニュースで宣伝してもらえる両賞はさておき、今回わたしは、
 知名度は落ちるが頑張っている賞を発掘してみることにした。頼みの綱は国内
 の賞の情報をおさめた「賞の事典ファイル」(注1)だ。さっそく「文学」のキ
 ーワードで検索、と思ったら901件もヒットしてしまった。そこで試行錯誤
 のすえ「ミステリ」でしぼり、やっと17件という手ごろな数字に。

  リストのトップにあったのは「FNSレディース・ミステリー大賞」という
 もの。初耳だが、それもそのはずだ。「平成2年第2回をもって中止された」
 とある。第2回は「受賞作なし」。実質的に一発で終わっているではないか。
 不景気なのに賞金1000万円なんて無茶をするからだ。ところがこのご時世
 にその上をいく賞があった。「『このミステリーがすごい!』大賞」。賞金は
 なんと1200万円。
  これは公募の新人賞で、データを読んでみると特徴的なのは賞金額の大きさ
 だけではなかった。選考者は全員書評家で、ネットで読者の投票もうけつけて
 いる。
  たいてい、文学賞の最終選考はベテラン作家がおこなう。相手が新進や新人
 であっても同業者の作品を選考するとなれば、私情や偏見がまじらないともか
 ぎらない。それに中には読書習慣のない作家もいるとか。そうした先生方が無
 遠慮な選考コメントを出すから、「××賞決別宣言」をする作家がでるなどの
 悲劇も生まれる。
  一方、書評家は、作家、読者の中間くらいの位置にいる。下手な選考をすれ
 ば、自分の看板に瑕がつくことにもなる。市場もわかっているし、なにより読
 書量が多い。寄せられる作品の質にもよるが、評価については信頼できそうだ。
  それにしても賞金1200万円である。選考委員はこの方面で引っぱりダコ
 の書評家ぞろいだとはいえ、これほどの額を一度にもらえる機会はめったにな
 いだろう。右から左へと動いていく大金に、歯ぎしりしている選考者もいるか
 もしれない。ためしに賞の公式サイトをのぞいてみると、受賞者を牽制する吉
 野仁氏の言葉があった。冷静だがドスがきいている。

  「ふつう作家が得る印税収入は、本の定価の10パーセントが相場である。
  すなわち1200万円の賞金とは、極端にいえば作品そのものに対して1
  億2000万円の価値を認めたことになる。」

  1億2000万円! すごい話になってきた。受賞者も思わず襟をただすこ
 とだろう。今では国内文学賞の代名詞のようになった直木・芥川賞も、そもそ
 もは両作家なきあとの賑やかしのためにはじめられたという。「『このミス』
 大賞」もおおいに頑張って出版業界をにぎわせてほしいと切に願うのである。

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  ■ 知的バラエティコラム/本日も、風まかせ!(第3回) 坂本あおい
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 『打倒、暴力クリスマス?』


  商業主義がプンプンかおる季節がやってきた。テレビをつければクリスマ
 スソング、街を歩けばクリスマス商戦と過剰なライトアップ。クリスマスは
 強迫観念のように、しつこく人々に迫ってくる。なんてあなたは暴力的なん
 ですか、クリスマスさん?
  ということで、今回はもっと心温まるクリスマスを探すためにWHOに入
 ってみることにした。まずは妥当なところとして「クリスマス」のキーワー
 ドと職業・活動分野「宗教」の組み合わせで検索。ヒットしたのはたったの
 8件で、特に興味をひくものもない。ちょっと試しに「政治」の分野。やは
 りヒット数はゼロ。ダメもとで「官界」。すると1件だけヒットした。

  ひらいてみると、日本国憲法の起草に携わったベアテ・シロタ・ゴードン
 というユダヤ系オーストリア人女性のデータだった。ピアニストの父が山田
 耕筰に招聘されたため、彼女は少女時代の10年を日本で過ごす。そして単
 身わたったアメリカから両親のいる日本に帰国したのが終戦後のクリスマス
 イブだったらしい。検索にひっかかったのは、当時のようすをまとめた彼女
 の執筆文献『1945年のクリスマス―日本国憲法に「男女平等」を書いた
 女性の自伝』だった。
  終戦直後のクリスマスとはどんなものだったのだろう? この本によると、
 彼女はイブの日にB29と同じルートを飛んで荒廃した日本に降りたった。
 両親との再会をはたすことはできたが、戦時下の厳しい生活のせいで二人と
 も栄養失調になっていた。GHQスタッフとして来日した彼女でも、食料の
 確保は困難をきわめた。そんな中、「遅れてやってきたサンタクロース」
(つまり彼女に惚れた男性)がプレゼントしてくれたのがアメリカ海軍の食料
 と石けんで、家族で最初に楽しんだのが、バターをのせた炊きたての銀シャ
 リだった。
 たしかに心温まるが、やや厳しいクリスマスを見つけてしまったようだ。

  そもそもクリスマスの12月25日とはキリストの誕生日でもなんでもな
 く、それ以前の各宗教の冬至の祭りが起源であるという。だとしたらキリス
 ト教とは無関係に冬の暗さを忘れて浮かれ騒ぐ今どきの過ごし方は、むしろ
 古式ゆかしいといえるかもしれない。ちなみにMAGAZINEPLUSで
 キーワード検索してみると「クリスマス」1377件、「冬至」34件とヒ
 ット数はクリスマスの圧勝だった。新しもの好きの方、これからは冬至でど
 うでしょう?

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  ■ 知的バラエティコラム/本日も、風まかせ! (第2回)坂本あおい
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 『昔きどって東京散歩』


  東京の四谷に荒木町という飲食街がある。この前、初めての店を訪れるこ
 とになったのだが、お店が提供している地図は線が二、三本交わっただけの
「洗練」されたものだった。これではどうも心ぼそい。なにしろあの界隈はか
 つての花街で、狭いすり鉢状の地形に細い路地が入り組み、たくさんの飲食
 店がひしめいているのだ。おまけにわたしは「地図の読めない女」ときてい
 る。

  詳細な地図を求めてウェブをさまようと、この町がもともと松平摂津守と
 いう人物のお屋敷だったことがわかった。明治に入ると、庭園にあった大き
 な池と天然の滝が人々の人気を集め、やがて周囲に芝居小屋や料理屋ができ
 て、大衆の遊び場となった。時代がくだるとともに高級化し、料理屋、芸者
 置屋、待合の三つがそろった三業地となり、昭和の中ごろまでは、まだ花街
 のにぎわいをみせていたという。

  さらにわかったことがあった。永井荷風が新橋芸者の八重次を荒木町に住
 まわせて、自宅と往復する日々を送っていたのだそうだ。ストリップ通いの
 変わり者で知られる荷風だが、もっと面白いネタがないかとWebWHOを
 見てみると、さらなる奇人ぶりが浮き彫りになった。「貯金通帳を握りしめ
 て死去」! 通帳の入ったバックが枕元にあったとする説もあるようだが、
 わたしとしてはこの「握りしめて」を信じたい。そのほうが、なんだかドラ
 マチックだ。
  なんと八重次のデータもあった。芸者とは仮の姿で、なんでも初めて日舞
 をヨーロッパに紹介した舞踏家なのだそうだ。類は友をよぶが、才能も才能
 をよぶものらしい。

  実際、荒木町を訪れて、荷風が歩いていたころの大正の香りをかいでみる。
 残念ながら、かつての花街を思い起こさせる建物はほとんど残っていない。
 それでも奇妙に折れ曲がった一本道や、なにやら奥の方へ続いている横道を
 歩いていると、それらしい気分になってくるから不思議だ。「少し酔ったか
 知ら。」「それぢやア、鳥渡(チョット)津の守の池まで歩いて見やうか。」
「弁天様があるところね。あすこはむかし、景色のいいところだったんですつ
 てね。」
  果たして、勘をたよりにすり鉢地形の底のほうに行ってみると、江戸時代
 には幅150メートルほどもあったという池は、今は十分の一以下の大きさ
 になっていた。水はよどみ、奥手の高台にある建物からはカラオケの音がも
 れてくる。まあ、気にしない、気にしない。時代は移り変わるのだ。
  昨今、隠れ家的店というのが人気だが、ここはいわば昔が香る「隠れ家的
 町」。すっかりファンになったわたしは、今宵も荒木町に出かけるのであっ
 た。

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  ■ <新連載> 本日も、風まかせ!           坂本あおい
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 『芸術の秋には、ひからびた絵画を』


  しらべものは脱線と反則ワザにご注意
 ―――――――――――――――――――

  我輩は猫である。名前はまだない――。
  初めての人の前に出るときには、きちんと自己紹介をしなさい、と小さい
 頃に教えられた記憶があるような、ないような。わたしについて言えば、冒
 頭の文の「猫」を「翻訳家」、「名前」を「ろくな訳書」と読み替えてもら
 えればいい。「我輩は翻訳家である。まだろくな訳書はない」。つまり、ホ
 ソボソと仕事をしながら、ホソボソと(それでも意外に楽しい人生を)生き
 ている。こんなわたしの書く駄文に、どうかしばしお付き合いください。

  翻訳業とは思いのほか調べものの多い仕事だ。でもわたしはこれが大好き。
 インターネットなど調べていくと、妙なところから好奇心に火がついて、仕
 事そっちのけで情報を深追いしてしまう。調べものの連鎖だ。いや、脱線か。
 聖書のくだりについて調べていたはずが、“文明は宇宙からきた”とかいう
 文を読んでいたり、建築様式について知りたいのに、名も知らぬ街の不動産
 の値段をながめていたり。仕事がはかどらないはずだ。
  さて、そんなわたしがWebWHOという道具を手に入れれば、それで遊
 ばないはずがない。これを使えば、キーワード以外にもいろいろな条件で検
 索ができる。まず手始めに自分と同じ誕生日の人を探してみる。しかしヒッ
 ト数が多すぎて断念。44万人分のデータから探すのだから、当然といえば
 当然だ。性別などの条件を足して絞ってみる。まだ多い。仕方がない、奥の
 手を使おう。わたしはさらに絞り込むため、名前の欄に「クリムト」と入力
 した。ヒット1件!


  気になるアイツからひからびの弟子へ
 ―――――――――――――――――――――
  数年前のこと、ウィーンのみやげ物屋で売られていた『接吻』のポスター
 を目にしたわたしは、その前から動けなくなった。小さい頃には気味悪いと
 さえ思ったクリムトの絵だが、あらためて見てみると、なんと甘美なことよ!
  官能の画家の絵がわかるようになったとは、わたしも正しい大人に成長し
 たということか。当然、ポスターがほしくなった。でも、観光客用の品(し
 かも紙ペラ1枚!)に千円以上も出すのはどうも釈然としない。なんとケチ
 なわたし。しかし結局のところ、買わずにはいられなかったのである。
  そんなことがあって以来、クリムトはわたしにとって気になる画家の一人
 となった。彼の好色おやじのような風貌を知ったときには、騙されたような
 気がしたが、自分と同じ誕生日だと知ると親近感がわいて、やっぱり彼につ
 いていこうと思った。
  せっかくWebWHOでクリムトのデータを呼び出したのだから、すみか
 らすみまで読んでみる。このデータベースには「交友関係」という欄もある
 のか。これは面白い。「関連文献」をクリックしてみる。出てきたのは32
 件と意外に少ないが、中に見知ったタイトルがあった。『世の終わりにうた
 う歌―世紀末ウィーンの天才たち』(伊藤勝彦編 新曜社)だ。
  これまで背表紙しか見たことのなかった本を、書棚から引っぱりだして見
 てみる。「交友関係」の欄に記載されていたエゴン・シーレは、この本では
 むしろ師弟関係が強調されていた。なるほど、友であり師弟でもあった、と
 いうことか。近しい関係にあった二人だが、作風は対象的だ。本の中からキ
 ーワードを拾って勝手に要約すると、クリムトは「みずみずしいエロティシ
 ズム」、シーレは「硬直したひからび系」ということだ。シーレの絵を見て
 みると、ホントだ、ひからびている。勉強になった。

  いろいろいじっているうちに、WebWHOにもだいぶ慣れてきた。こん
 どはもっと面白い遊び方を考えてみよう。ところで今回、「交友関係」とい
 う欄が気に入った。わたしが得意とする「調べものの連鎖」にもってこいの
 項目なのだが、“この欄に記載がある人”という条件で検索はできないです
 か、日外アソシエーツさん?

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