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人物・文献情報データベースWHOPLUSの“人物”をテーマにしたブログです!
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【2】知的バラエティコラム/本日も、風まかせ!(第64回・最終回)
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五年一昔

わたしがいままで会った一番の有名人は、たぶん、ゴルバチョフ元大統領だ。
講演会の前にお茶を出したというだけの話だが、さすがの風格で、下々にまで
笑顔を忘れず、あたたかく握手をしてくれて、ちょっと感動した(おかげで、
頭のシミを見るのを忘れてしまった)。

しかしあまりに無防備で、もし、わたしが危険なスパイだったらどうするのか
と心配になったが、考えてみれば、氏が現役だったのははるか昔のこと。グラ
スノスチだとかペレストロイカだとかいうロシア語が、いまでは懐かしい呪文
のように感じられる。「WHOPLUS」の「経歴」からひろうと、「'85年3
月党書記長」、「'89年5月、(中略)最高会議議長に選出され(中略)実質統
括権を持つソ連の最高指導者」「'90年3月大統領制を導入し初代大統領に就任」
とある。役職がややこしいが、つまり、一番活躍をしていたのは、ちょうどい
まから四半世紀前ということになるだろうか。

◎ ゴルバチョフ,ミハイル(政治家;ゴルバチョフ基金総裁)
1931年ソ連・ロシア共和国スタブロポリ州生まれ
1952年ソ連共産党に入党。'85年3月党書記長、'88年10月には最高会議幹部会
議長に就任。国内では"ペレストロイカ"(改革)に励み、外交にあっては"ノー
ボエ・ムイシュレーニエ"(新思考)を旗印に新しいイニシアチブを打ち出す。
'90年3月大統領制を導入し初代大統領に就任。同年ノーベル平和賞受賞。'91
年12月ソ連邦が解体するとともに大統領を辞任。  (WHOPLUSより)

あれから時代は変わった。巨大な国家、ソ連は消えてなくなった。人民服と自
転車とパンダのイメージの中国も、もう、どこかへいってしまった。かつては
環境問題といえば、身近な公害や酸性雨などが話題だったが、いまは温暖化の
議論が熱い。四半世紀の変化というのは、なかなかすさまじいものがある。

ところで、わたしがこのコラムを書くようになって、すでに5年以上がたち、今
回、最終回をむかえることになった。

このたった5年のあいだにも、気づいてみると、さまざまな変化があった。自民
党が破れ、アメリカには黒人のリーダーが登場した。家のテレビも薄くなった
が、街の信号機も、いつの間にLEDの薄いものが主流となった。

わたし自身はといえば、当時は言葉すら知らなかった「アラフォー」という年
代に足をつっこむことになり、記憶力がメキメキと落ちて、5年前を思い出すこ
とさえ、難儀になった。

そうそう、「個人情報保護法」施行により、「WHOPLUS」の環境に変化
があったのも、この5年のうちだ。それにメールやウェブを利用した情報発信の
方法も、いまなお、猛スピードで変わりつつあって、こうしたメールマガジン
からは、ややアナログ的な香りが漂うようにもなってきた(らしい)。

さあ、この先の5年では、いったいどんな変化があるのだろう? 楽しい驚きに
満ちた未来に思いをはせながら、長きにわたりお付き合いくださった読者のみ
なさん、担当者の方々に感謝して、この場を去りたいと思います。ありがとう
ございました。

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【2】知的バラエティコラム/本日も、風まかせ!(第63回)
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頭髪問題

小学校の音楽室で、疑問に感じたことはないだろうか。ワイルドヘアのベートー
ベンのとなりにいる、あのバッハの髪型はなんだ! なんで真っ白で、グリグ
リの巻き毛なのか? じつはあれ、想像のつくとおり「ヅラ」である。

当時は、正装やお洒落やシラミのために、ああいう髪型をしたらしいが、そも
そも男性カツラの流行の発端をつくったのは、ルイ13世(1601-1643)といわれ、
王が若ハゲを隠すために着用したのに合わせて、周囲もカツラをかぶるように
なった。

そして、あの白い髪の色の正体は、なんと小麦粉や澱粉で、獣脂などのポマー
ドをつけた毛に、その「髪粉」をたっぷりとふりかけて、白や灰色、青や紫と
いった色を出した。高貴な雰囲気にするためとか、カツラと地毛の差をなくす
ためとか、理由はいくつかあるようだが、加齢をごまかす目的もあったとか。
若づくりならぬ「老けづくり」だ。

これは、ナイスアイディアではないか。「若々しい」と「若づくり」の境界に
ついて過敏な年ごろのわたしは、老いを隠そうとして黒々と毛染めをすると、
かえってヨレた感じになるなぁと、急に髪を黒くした政治家なんかを見ながら
思っている。髪の短い男性は、年齢相応なら、白髪まじりもまた良しと思うの
だが……。

さいわい、わたしはまだ白髪染めはいらないが、よく見てみると、黒い髪のあ
いだから、キラリと光る憎いヤツがのぞいている。単純に染めてしまえばいい
のだけれど、じつはわたし、白髪染めに対して妙な恐怖心がある。いったん使
いはじめたら、死ぬまでその奴隷になるような気がして怖いのだ。まさにポイ
ント・オブ・ノー・リターン。勇気を持ってゴマシオになるか、一生、白髪染
めの世話になり、「若づくり」に縛られつづけるのか。ハムレット流に言えば
「To dye or not to dye; that is the question」だ。

余談だが、古代日本には「白髪皇子」と呼ばれた人がいたらしい。白髪武広国
押稚日本根子尊、すなわち、第22代清寧天皇のことだ。では、その呼び名の理
由は? わかりやすすぎるクエスチョンだが、答えはWHOPLUSで!

◎ 清寧天皇(第22代天皇)
生没年不詳。雄略天皇の第三皇子、母は葛城韓媛。雄略天皇の崩御後、星川
皇子の叛乱を平定して即位。磐余甕栗宮に都す。
(WHOPLUSより)

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【2】知的バラエティコラム/本日も、風まかせ!(第62回)
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ジョージ・ホワイトとはだれでしょう?

小説やマンガなどで有名な犬のキャラクターというと、どんな名前が思いうか
ぶだろう? スヌーピー、のらくろ、パトラッシュ、ジョリー、モンモランシー、
ベルカ、プルート、ラッシー……。あらら、きりがない。ならば、猫は? 

最初にうかんだ名前は、漱石の「我輩」と長靴をはいた「猫」だ。いやいや、
これは名前とはいえないな。さらに頭をひねること数分。ようやく出てきたの
が、「キャット空中三回転」のニャンコ先生と、『宇宙戦艦ヤマト』のミーく
ん。ううん、微妙に地味ですか。

と、思いだした。大人気のキティちゃんがいるじゃないか! すぐに出てこな
かったのは、猫っぽくない雰囲気のせいだろう。いまでは世界的な知名度をほ
こるキャラクターだが、そういえば、スヌーピーはシュルツ、のらくろは田河
水泡だが、あれを描いているのはだれだろう? 調べてみると、現在は山口裕
子さんという三代目の方がデザイナーをしているとのこと。小さいころからお
世話になっているのに、キティちゃんについては、じつは知らないことだらけ
だ。

その山口さんのインタビュー記事によれば、キティちゃんの人気は1987年ごろ
に低迷したが、友情のシンボルとして育ったキャラクターだけに、サンリオ社
長がそのまま消滅させることを惜しみ、社内コンペにより山口さんが新デザイ
ナーに起用されて、現在の人気につながった、とか。ということは、辻社長の
熱意がなければ、キティちゃんは今ごろ……。

参考に、氏の会社創成のころの経歴を抜粋してみる。懐かしいキャラクターの
名前がてんこ盛りだ。じつは、わたしの幼い記憶にガツンと残っているのは、
『親子ねずみの不思議な旅』というサンリオ初期のアニメ映画なのだけれど、
こちらは悲しいことに経歴にも載っていないし、あまり知る人もいないんだろ
うな。

◎ 辻信太郎(作家;サンリオ社長)
昭和35年山梨シルクセンターを株式会社化して独立。44年にグリーティング
カード販売を手がけるサンリオグリーティングを設立。48年にシルクセンター
をサンリオと改称し、同年サンリオグリーティングと合併。その後、「ハロー
キティ」「パティ&ジミー」「リトルツインスターズ(キキとララ)」「マイ
メロディ」のなどオリジナル・キャラクターを次々と世の中に送り出す。 
(WHOPLUSより)

ところで、タイトルの「ジョージ・ホワイト」の名でピンときた人がいるとす
れば、あなたはかなりのキティ通ですね。じつはこれはキティちゃんのお父さ
んの名前で、キティちゃんは、なんとイギリス人(?)なのでした! 

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【2】知的バラエティコラム/本日も、風まかせ!(第61回)    坂本あおい
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バラ、薔薇、ばら

12月は贈りもの季節。ひょっとしたら、予算をケチったつもりもないのに、恋
人から不満な顔をされたばかり、という不幸な男性もいるのではないだろうか。
女はいつでも欲張りなもの。テレビの通販ではないけれど、「オマケにコレも
つけましょう」と、気持ちを添えてもう一品つけくわえると、女の笑顔は増す
かもしれない。

そんなとき、選択肢のひとつは、もちろん花だろう。それも、バラなら気分も
盛り上がりそうだ。だが、わたしは辞書を見て驚いた。だれがつけたか、バラ
にはこんな花言葉があるのだ。(以下『ランダムハウス英和大事典』より抜粋)

赤バラ beauty
白バラ I am worthy of you(私は君に値する)
黄バラ decrease of love(愛の減退)

赤バラの「beauty(=美)」はいいとして、白バラの花言葉は、日本語訳がビ
ミョーに挑発的。まあ、「僕はきみにふさわしい男だよ」とアピールしたいと
きには、よさそうに思える。しかし、黄バラはどうだろう? もらったほうは、
どんな顔をすればいいのか?

ちなみに「a blue rose(=青いバラ)」は、「不可能なもの」という意味の
言葉だったが、昨今、新技術によって青いバラが誕生し、「奇跡」「夢かなう」
などの花言葉がつけられているそうな。

話は変わるが、15世紀イギリスの「薔薇戦争」がなぜその名で呼ばれているか
は、ご存知の方も多いと思う。王位をめぐって争ったランカスター家とヨーク
家の紋章が、それぞれ赤バラと白バラだった。

では、中世にその名を馳せた「薔薇十字団」は? これは、創始者とされる伝
説の人物ローゼンクロイツ、訳して「薔薇十字さん」に由来するとか。バラか
ら連想される宝塚的世界とも、「××団」という語の持つ騎士道的なイメージ
とも無縁なようだが、そこはナゾの多い組織のこと。名前には、べつの意味が
込められているのかもしれない。

WHOPLUSで見つけた情報によると、驚いたことに薔薇十字団の法統なる
ものが、つい最近まで受け継がれていた。かつての組織は、現代でいうところ
の科学者や知識層のグループだったという説もあるようだが、その「法統」と
はいかなるものか?

◎ バトラー,W.E.(1898年-1978年)
17歳からオカルトの道に入る。薔薇十字団の法統を受け継ぎ、インドに渡り
ヒンドゥーの秘法をも学びながら、現代に正統的な魔法を伝えた。 
(WHOPLUSより)

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【2】知的バラエティコラム/本日も、風まかせ!(第60回)    坂本あおい
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カクテルはいかが?

冬が近づいてきて、日ごとに夜が長くなる。そんなひとときを美味しいお酒を
飲みながら、まったりと過ごす。これ至福。最近では、日本酒をチビチビとか、
焼酎でウダウダとか、そういう飲み方が好きだけれど、過去をふりかえってみ
ると、わたしにもそれなりに可愛い時代はあった。なにしろ、カクテルでキャ
ピキャピしていたのだ。

はじめて飲んだカクテルは、忘れもしないギムレットだ。チャンドラー『長い
お別れ』の“ギムレットには早すぎる”の台詞に影響されたとかではなく、た
ぶんデート相手に勧められて選んだのだと思う。「カクテルの名前がすらすら
出てくる男ってステキ!」と思ったかどうかは憶えていないけれど、ウブだっ
たわたしは、目をハートにして喜んで飲んだものだ。

とはいえ、正直いって、ジンのはいったカクテルは飲みなれていないと薬くさ
いし、それにギムレットはどうやら、ハードボイルドなイメージのあるお酒の
ようだ。はじめて乙女が飲むカクテルとしては、いかがなものか……。

ものは試しで、日本の高齢女性の代表として、母に初カクテルを聞いてみると、
エンジェルキッスという答えが返ってきた。とってもラブリーな響きだけれど、
はじめて聞くお酒だ。ということで、先日、わたしはいそいそとバーへいって
注文したところ、マスターが「坂本さんにはちょっと……」と歯切れが悪い。
飲んでみて納得。これは大雑把にいってカカオ・リキュールにクリームを注い
だもので、味はお酒というよりお菓子だ。とりあえず、好奇心が満たされたの
で、よしとしておこう。

ところで、日本人による日本人のためのバーの元祖は、1911年に洋画家の松山
省三がひらいた《カフェ・プランタン》というお店らしい。WHOPLUSの
『事典 近代日本の先駆者』によると、当時は、“コーヒー1杯が10銭、カク
テル1杯が25銭であった”のだそう。いまのコーヒーが仮に500円だとすると、
1250円相当だ。当時の人々がどんなものを飲んでいたのか、とても想像がふく
らむのだが、残念ながら調べがつかなかった。19世紀末に軍医のギムレット氏
が考案したカクテルは、銀座界隈に集う粋人もまだ口にしていなかっただろう
か?

◎ 松山省三(洋画家)
明治17年広島県生まれ 昭和45年没
岡田三郎助に師事し、白馬会、院展に出品。そのかたわら明治44年、東京・
京橋にカフェー・プランタンを開業、文学者や美術家を常連とした。
(WHOPLUSより)

さて、北風の冷たい日には、ホットバタードラムなどはいかがだろう? ラム
に砂糖、熱湯を入れて、バターをうかべるというもので、カロリーも高めだが、
幸福度も高い一杯。海外の小説では、スキー場で身体を温めるために飲むシー
ンがみられるけれど、そういうときには、飲みすぎに注意です。そうそう、カ
クテルと呼べるかは微妙だが、グリューワイン(香料入りのホットワイン)と
いう選択もある。これも寒い屋外で飲むと、心まで温まる一杯。ああ、寒い冬
が待ち遠しくなってくるなあ。

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【2】知的バラエティコラム/本日も、風まかせ!(第59回)    坂本あおい
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靴脱ぎ文化、増加中?

欧米と日本の暮らし方のちがいというと、まず思い浮かぶひとつが、家のなか
で靴を脱ぐか脱がないか、ということではないだろうか。けれど、靴脱ぎ文化
が日本特有のもので、欧米の家庭ではどこでも靴を履いたまま生活しているか
というと、これが案外そうでもない。それどころか、わたしの経験と調査の結
果からすると、最近では、土足であがる家のほうが少ないのではないかと思え
てくるくらいだ。以下、ネットでひろったコメントや事例をいくつか紹介して
みよう。

うちの国ではみんな、「当然」靴を脱ぐよ。[フィンランド人]
スウェーデンでも脱ぐよ。[スウェーデン人?]
脱がないヤツの気がしれないって? ごめんよ。[イギリス人]
脱ぐ脱がないの方針をめぐりモメている家庭も多い。[アメリカ人]
友人に土足であがられても、清潔より友情をとりたい。[不明]
イギリス人は、かがむのが苦手なんだ(泣)。[イギリス人]
微生物学者だ。頼むから、わが家では脱いでくれ! [アメリカ人]
有名女優よ。客には医療用靴カバーをつけてもらうわ。[アメリカ人]

靴脱ぎの習慣がどれだけ古いものかはわからないが、いずれにしても、家の機
密性が高くなって、むかしより住居内が清潔に保たれるようになったことや、
衛生意識が向上したことなどによって、今後もますます「土禁」の家が増える
傾向にありそうだ。

ちなみに、わたしが30年ほど前にオーストリアに住んだときには、すでに人々
は室内ではハウスシューエ(=家靴)とよばれるものを履いていた。友達の家
に遊びにいくと、家靴を借りたり、素足になったりする。家靴は、健康サンダ
ルからフエルトのスリッパのようなものまでさまざまだったが、片方がないと
思うと、たいてい飼い犬がくわえてどこかへ持っていっている、というのが定
番だった。

ところで、上に登場したアメリカの微生物学者は、あらゆる汚いものを靴底に
つけて家にはいることにゾッとしているようだが、では果たして、「土禁」の
家はどれだけ清潔なのだろう? WHOPLUSで見つけた日本の微生物学者、
堀内勲氏の経歴のなかに、そのヒントとなりそうなこんな一文を見つけた。

著書に「赤ちゃんはスリッパの裏をなめても平気-あなたの周りの微生物が
わかる本」など 。

スリッパの裏がOKなら、家の床も、なめても平気な程度に清潔ということだ
ろう。いや、ひょっとして、裏はいいけど、スリッパの内側は絶対になめるな
かれ、ということ? まあ、わたしは赤ちゃんでも犬でもないので、どっちで
も気にしないが。

◎ 堀内勲((株)応微研代表)
昭和18年山梨県生まれ    
東京大学微生物研究所での研修を経て、山梨県に株式会社・応微研(応用微
生物研究所)を設立。環境と人間の共存をテーマに、生物及び微生物を利用
した地球に優しい技術と製品の開発を推し進める。
(WHOPLUSより)

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【2】知的バラエティコラム/本日も、風まかせ!(第58回)    坂本あおい
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しましま三題

この時期、疑問に感じる方も多いのではないだろうか――スイカはどうしてし
ま模様なの、と。あれ? そんなヒマなことを考えるのは、わたしだけですか?
ともあれ、ここはちょっと、しましまに関するヒマな調査と考察にお付き合い
ください。

【スイカは、なぜ、しま模様か】
安直にネットに答えを求めてみると、「スイカの原産地はアフリカの砂漠で、
鳥獣に食べて種をフンにして運んでもらうため、目立つようにしま模様ができ
た」という仮説が優勢だった。一瞬、なるほどと思ったけれど、スイカの原種
の写真を探してみると、しまのないものも出てくる。目立つどころか、地味す
ぎるではないか。スイカに理由を聞くわけにもいかず、結局、謎は深まるばか
りだ。

【ボーダーは横じまか?】
おなじしま模様でも、ストライプがタテで、ボーダーがヨコという理解の人も
多いようだけれど、「ボーダー」からはどうも和製英語のにおいがする。英語
のボーダー(border)は縁や境界という意味で、ボーダー柄の服といえば、裾
などに模様や色がぐるりとついているもの、または、縁どり用の模様が、タテ
かヨコに何列もプリントしてあるものをさすようだ。
そういえば、いわゆる「ボーダーTシャツ」と呼ばれるものには、肩の部分が
無地になっているものもある。ひょっとしたら、日本で最初に売り出されたT
シャツは、英語のとおり裾のほうだけがストライプ模様だったのではないだろ
うか? それが、徐々にしまの部分が胸まであがっていって、いつしか「横じ
ま=ボーダー」となった――そんな仮説をたててみたが、説得力はイマイチ?

【しましまの囚人服】
スイカはわからずじまいだけれど、こちらのしましまは、まさに脱獄防止等の
効果をねらって「目立つため」につけられたもののようだ。コントでしか見た
ことのないあの衣装は、19世紀アメリカでは一般的だったが、20世紀初頭には、
罪のレッテルのようなしま模様は囚人にとって屈辱的で望ましくない、として
廃止されたという。第二次大戦中は、ナチに捕らえられたユダヤ人たちが白黒
の囚人服を着せられた歴史もあるが、こちらはたしか縦じまだ。

さてさて、暑さにやられると、どうも文章が取り留めがなくなっていけない。
しましまといえば楳図かずおさん、ということで、自宅の外壁を赤白に塗装し
た騒動の顛末をWHOPLUSの文献で復習しつつ、お茶を濁すことにしよう。

「まことちゃんハウス訴訟」初出廷、楳図さん紅白ネクタイで白黒つける
報知新聞 2008.9.30

まことちゃんハウス裁判、勝利の楳図かずおさん-赤白外壁「景観乱している
とはいえない」地裁、近隣住民の請求棄却 日刊スポーツ 2009.1.29 p19

楳図かずおさん住民とトラブル心痛んだけど、まことちゃんハウスすっかり
新名所なのら(シリーズ人間) [佐藤 雅昭]
スポーツニッポン新聞 2009.3.6 p28   
(WHOPLUSより)


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【2】知的バラエティコラム/本日も、風まかせ!(第57回)    坂本あおい
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野生の匂いと、化学の香り

公言するのもなんだけれど、世の中を「匂いに興味がある人」と「そうでない
人」に大別するならば、わたしはまちがいなく前者だ。ひとくちに匂いといっ
ても、その興味の対象や好みは、香水やアロマから、人や動物の体臭、物の匂
い、場所の匂いまで、人それぞれ。わたしの好みはというと、たとえば、西洋
レストランの食後の匂いだ。料理と酒とコーヒー、それに香水と人の匂いの渾
然一体となった香りに気分が華やぐという人、ほかにいませんか?

ところで、わたしには、匂いを愛好する同士たちに自慢したい体験がある。そ
れは、本物の「麝香(じゃこう)」をかいだこと。昔から媚薬として利用され
た、おなじみのムスクの香りだ。

出合いは意外なところにあった。薬膳料理のお店の棚に、ほかの漢方薬にまじっ
て麝香があったのだ。店主にたのみこんで、かがせてもらってビックリ! 
官能的な野生の香りなのかと思いきや、なんともお上品。祖母の鏡台にあった
「お粉」のような化粧品風の香りだった。

わたしの趣味を知ってか知らずか『匂いのエロティシズム』という新書をくだ
さった方がいるのだが、その本によると、厳密な意味での動物由来の香料は、
麝香(ジャコウジカ)、シベット(ジャコウネコ)、カストリウム(ビーバー)
の三種しかないらしい。しかも、値段や動物保護の理由から、現在では合成の
ものを代替品として使用するのがほとんどだとか。ほら、本物の麝香をかいだ
わたしは、すごいのだ! 一方、その代替品の合成香料も、化学者のむずかし
い研究の上になりたっていると思うと、ありがたい気持ちになる。たとえば、
こんな方の。

◎ルジチカ,レオポルト(化学者)
'16年から天然有香性物質の研究を始め、高位テルペンとステロイドを作用
させて始めて麝香(ジャコウ)を合成した。また'30年代には性ホルモンの研
究に従事し、'34年男性ホルモン"アンドロステロン"の全合成に成功した。
これらの業績により'39年ブーテナントと共にノーベル化学賞を受賞した。
(WHOPLUSより)

麝香の合成でノーベル賞とはすばらしい。けれど、なになに、前掲の本いわく、
動物性天然香料のうちで調香師にとって一番大切なのは「シベット」で……。
この天然香料だけは、適当な合成の代替品がないらしい。と思ったら、WHO
でこんな方を発見した! 成功から9年。そろそろ実用化され、わたしたちの
暮らしに浸透しつつあるのだろうか?

◎田辺陽(関西学院大学理工学部教授) 
平成12年ジャパンエナジー医薬バイオ研究所との共同研究で、ジャコウネコ
からしか採れない香水の原料・シベトンの人工合成に成功。
(WHOPLUSより)

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【2】知的バラエティコラム/本日も、風まかせ!(第56回)    坂本あおい
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シャツとスーツと政治家の話

6月の衣替えとともに今年もクールビズの季節がおとずれ、テレビに映る政治家
のなかにも、シャツ一枚という格好がちらほらと見られるようになってきた。

シャツというのはご存知のとおり、元来下着だった。イギリスを舞台にした時
代もののロマンス小説では、上着を脱いだ殿方を見ただけで、レディはその色
気にどぎまぎしたりする。ある時代には、上着からのぞく白いシャツは、今で
いうところの「チラ見せ下着」で、またある時期までは、長く垂れた前後の布
がパンツの役割も兼ねていたとか。

けれど、シャツ姿の政治家たちはどう見ても休日のおじさん風で、色気を発散
するどころか気が抜けて見える。小説のヒーローのような分厚い胸板をしてい
ればまだいいが、残念なことに、多くの方が貧弱な体つきか、さもなければメ
タボかポニョ。どうせなら、クールビズと抱きあわせで「肉体づくり」プロジェ
クトを推し進めてほしいものだ。政治家は見た目にも迫力があったほうがいい。

といってはみたが、わたしはシャツ姿の政治家にはやはり抵抗がある。オン、
オフを切り替えたり、相手に敬意をはらったりするという意味で、上着一枚の
意義はたいへん大きいように思うのだ。上着を脱がずに涼しい格好というのは
ないものか?

とくれば、だれか思いだす人はいませんか? ジャケットの袖を半分に切った
「省エネルック」を率先して着用した羽田元首相だ。しかし残念なことに、時
代を先取りしすぎていたのか、彼のあとにつづく人はほとんどいなかった。あ
の衣装のことは、氏のデータのエピソード欄にもちゃんと書いてある。

エピソード:第二次石油ショック後の昭和54年、大平内閣が提唱した環境に
やさしいファッション・省エネルックの半袖スーツを、現在も
愛用する。
(WHOPLUSより)

小さかったわたしは、袖の布をケチった分が省エネなのかと思っていたが、無
論そうではない。石油ショックがきっかけだったとなると、当時は、地球環境
というより日本経済を守る対策だったのだろう。となれば、危機が一段落した
あとで、半袖スーツが見向きもされなくなったのも無理はない。というより、
やはりあれは、デザイン的に進化の方向がまちがっていたような……。

ところで、『ヴィクトリア朝百貨事典』によると、現在のスーツの原型は、
1860年代に登場したディットーズと呼ばれる三つ揃えのような衣装だった。当
時、これはあくまで略式の服で、その姿で街を歩いたり、人と会ったりするの
は「はなはだしく不躾なことと見なされていた」らしい。価値観というのは、
時代や場所でおそろしく変わるものだ。

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【2】知的バラエティコラム/本日も、風まかせ!(第55回)    坂本あおい
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文字コンプレックス

ネット徘徊中に「コンプレックスに感じていることランキング」というのが目
にはいってきた。ほとんどが外見に関することであるなか、「字が汚い」とい
う項目が、上位5位にはいる健闘ぶり。ああ、わかるなあ! なにを言おう、
わたしの字も最悪なのだ。広辞苑で悪筆の意味を引くと「まずい字」とあるけ
れど、わたしの場合、まずいうえに統一感がない。線がぶれたり、字が急に大
きくなったり。たぶんわたしの手には、文字を書くための筋肉が備わっていな
いのだ。

ところで、われらが麻生総理の字をご覧になったことはあるだろうか? 国語
ができないというレッテルに対し、なかなかどうして達筆じゃないか、と擁護
の声があがって一時話題になったので、写真を見た方も多いと思うが、そのと
き、よく例として挙げられたのが、安倍政権時の大臣らが手書きした、七夕の
短冊の画像だ(*1)。いろんな方がいろんな字を書いていることにまず驚く
が、麻生外相(当時)の字はどうだろう? 毛筆の仮名はきれいに見えるけれ
ど、達筆かどうかは、ううん、素人のわたしには、いまいちよくわからない。

では、正真正銘の達筆とはどんな字なのだろう。とりあえず「三筆」のキーワー
ドで調べてみると、元祖の空海、橘逸勢、嵯峨天皇以外にも、寛永の三筆、黄
檗の三筆など、達筆の方はたくさんいらっしゃるようだ。わたしには見慣れな
い名前ばかりだが、たとえば、江戸後期(幕末)の三筆のひとりは、こんな人。

◎ 貫名海屋(ぬきな かいおく)(儒者;書家;画家)
安永7年3月(1778年)生まれ 文久3年5月6日(1863年6月21日)没
少年時代に大坂に出て儒学や画を学ぶ。書は徳島の西宣行に学んだのち、
空海の真蹟や平安時代の書などにより優雅な書風を成す。"幕末の三筆"
の一人に数えられる。
(WHOPLUSより)

もちろん、肝心の字を見なくてははじまらないので、海屋書の画像をさがして
みた(*2)。上の経歴にあるとおり、まさしく優雅な字。なるほど、納得の
達筆だ。

話は短冊にもどるけれど、大臣らの字を見て、出世をすると手書きの文字まで
さらされて、つくづく気の毒だなあと思った。まあ、わたしの職業の場合、名
を成してもせいぜい本にサインをする程度なので心配はいらないが、今の悪筆
だと「1年3組 坂本あおい」と教科書の扉に書いたような風情になってしま
う。ましてや「“麻生くんへ、愛をこめて”と添えてくれ」と頼まれたりした
ら……。子供の落書きみたいにならないように、今からコツコツと字の練習す
るべきか、そのエネルギーを仕事に振り向けるべきか、ああ、なんて悩ましい
のだろう。

(*1)
内閣官房「美しい国づくり」推進室
http://www.kantei.go.jp/be-nippon/archive/tanzaku.html

(*2)
中津市デジタル美術館
http://www.city-nakatsu.jp/digital-m/art/unge/page/sakuhin20.html

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