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う本を読んでいるのだが、物語のあっちこっちに諸外国の文学作品の引用
が散見するコムズカシイ本なのである。
登場人物達が、あーでもない、こーでもないと高尚な話をしているので、
話題についていけない(夏)は、「へー、そうなんだあ。」と相槌をうつ
ばかりで、ちっとも読み進まない。しかたがないから「?」と思った引用
作品が出てくると、そこで読むのを中断して、いっこいっこ、調べてみる
わけだ。しかしまあ付け焼刃で歯がたたない。そもそもそんなことをして
いたら、本来の物語の流れとか行間を楽しむ余韻がぜーんぜんないんであ
る。世の中には、知的素養があることで2倍、3倍楽しめるジャンルとい
うものがあるのだなあと、しみじみ感じずにはいられない。そんな素養の
ある人が心底うらやましく、また己のあやふやな知識を嘆くばかりである。
(夏)
品保存用の透明なタッパーに、あるものを適当に詰め込んで持参している。
ちょっと味気ない気もするが、まあ胃にはいればいっしょである。
その透明タッパーを眺めていて、ふと兄が作っていたお弁当を思い出した。
豚の三枚肉にしょうゆをかけてさっといため、そこに冷ごはんを投入、塩・
コショー・七味唐辛子で味付けしただけという実に大胆かつシンプルな炒飯
弁当である。おかずはもちろんナシ。米のみ。
中学生であった兄は、所属していたサッカー部で練習試合があるというと、
この炒飯を透明なタッパーにぎっしりつめて、元気よく「いってきまーす」
と出かけていったものである。
その大胆かつシンプルな炒飯はサッカー部で大ブームを呼んだ。気がつくと
兄の名字をとって「オクムライス」と名づけられるまでの地位を得ていたの
である。先輩からも頼まれて2人前、3人前と作って持っていっていたよう
だ。男子中学生が作るB級ですらないグルメ。今度作ってみようかな…(と
は思わない)
(夏)
わたしの寝床には、避難用のリュックが置いてある。
先日の地震以来、どうもこのリュックを点検せずにいられない。
リュックの中身を、ざっと書いてみよう。NASA開発のサバイバルボッ
クス(水やら食料やら銀色のシートやらが詰まっている箱)、災害用伝言
ダイヤルのメモ書き、保険証と通帳のコピー、笛、底の厚めの靴、予備の
メガネ、サランラップ、電池などなど…阪神淡路大震災の被災者の方の体
験をもとに自分なりにチョイスしたわけだが、よくもこれだけ欲張ったね、
あんたという品揃え。
どれもこれも必要な気がしてならないが、根本的にこのリュックを持ち上
げることが、かなり困難なことになってきた。これをかついだら、すばや
く逃げることはおろか、完全に足元がおぼつかない…。
こっそり家人のリュックに中身を移す(夏)なのであった。
(夏)
かくいう(夏)も、数年前にJR東日本のお得なきっぷで北海道旅行をし
た。
道内のとある駅で途中下車しようと、改札できっぷを差し出したところ、
駅員さんに「あ!ちょっと待ってください!」と呼び止められた。
びびったわたしの手に、しっかとつかまれた切符を、その駅員さんはしげ
しげと見つめている。
おそるおそるきっぷを差し出すと、事務室にいた、ほかの駅員さんを呼ん
で「ほらっ、これ!東日本さんのきっぷ!好評だって本部から連絡きてた
でしょ、」と目を輝かせている。
すると、他の駅員さんも窓口に集まりはじめ、ほんとだー、これかー、得
だよなー、などと、一同、思い思いの感想を述べ合い、ワイワイと盛り上
がっている。
「すごい得らしいね…。」「うん…得なんだね。」騒ぎの輪の外に、ポツ
ンと取り残されたわたしと家人は、得をして良かったという思いとともに、
こんな駅員たちは、ちょっといやだと思ったのである。
(夏)
の都心36度には、かなりの衝撃を受けた。
まぁ、この暑さでぐでんぐでんになっていたのは、わが家だけではなかっ
たようで、大型電気店のエアコン売り場は、すごい人だかりであった。
店員さん一人あたり平均4~5組の客が、次は自分だとばかりに、パンフ
レットをにぎりしめ、まわりを固めている。
「なんか…面倒くさい。」エアコンなんかなくていいや、帰るべ帰るべと、
家人をひっぱってその場を立ち去ろうとしたわけだが、家人はその場に足
をふんばり、店員&客のカタマリをじっと見つめている。家人のホンキ度
を瞬時に理解した(夏)は、立ちはだかる客を牽制しつつ、商品知識が豊
富かつ親切そうな店員さんをキープするため立ち回った。そして、みごと
理想の店員さんの捕獲…いや確保に成功したのである。
その時点で、(夏)のエネルギーは切れた…。そして、エアコン購入以上
の達成感を味わったのであった。
(夏)
ちょっと大人っぽいスマートな傘だ。
はやく梅雨入りすればいいのになあ~などと身勝手な思いで、るんるんと
防水スプレーをかけまくっていたところ、するっと手元から傘が離れ、そ
のままストンと、足の薬指にささってしまった…。(あ、血みどろだ。傘
の先ってささるわけ? これ抜いちゃっても大丈夫か?)あまりに驚いて
さまざまなことが走馬灯のように頭を駆け巡ったものの、何とか傘を指か
ら抜いた。(痛い話が苦手なかたスイマセン)
わたしには、花火大会の会場で足の親指の爪がはがれて救急車で運ばれる
という、かなりみっともない前科がある。不注意という言葉だけではすま
されない何かが自分にはあると再認識せざるを得ないできごとだった…。
(夏)
り仕事をしている。「大丈夫なんすか? 見てられないっす!」同じく残業
中の後輩が、そんな(夏)に同情する。彼は若い。肩こりなんぞになりはし
ない。そう思うと、せっかく心配してくれているというのに、坊主憎けりゃ
袈裟まで憎いで、ちぇっ!と舌打ちのひとつもしたくなる。
そんなやりとりを見ていた上司が、おもむろにわれわれ二人の前で、肩こり
体操を披露しはじめた。
「一日5回でいいんだ」そんなソフトな条件を提示しながら、しかし仕事中
にやっていたら、かなり珍妙といったタイプの体操を、次々にデモンストレ
ーションしていく。最後には、骨粗しょう症体操にはジャンプが効くとジャ
ンプ実技まで飛び出し、やんやの喝采のうちに営業課の夜は更けていくので
あった。(注)この後ちゃんと仕事をしました。
(夏)
坂本さんのコラムで、無駄に長々とお稽古を続けていた…というくだりが
あったけれど、(夏)もそのクチだ。
姉が習うからという理由で、一緒にピアノだ水泳だと通っていたわけだが
長々と続けたわりに、ちーっとも、ものにはならなかった。パッションが
足りなかったのだろうか。
むしろわたしのパッションは別の方向を向いていた。いかに“さぼる”か
である。ピアノの時間は母親の目をあざむいて、お稽古バックごと藪に隠
れた。また水泳教室は、出席するとカードに印を押してもらうシステムだ
ったため、これを消しゴムで偽造した。(これは兄も共犯だった)水泳が
大嫌いかつ手先の器用な兄がそっくりなハンコを仕上げたため、しばらく
はバレなかったが、姉にくらべ、兄妹の級がちっとも上がらないので、母
親の知れるところとなったのである。偽造なんてとんでもない!あたしゃ
情けないよ! と、母の逆鱗にふれ、兄ともどもこってりと絞られたので
ある。「子供のころから、そんなだったんだ…」とは家人の弁である。
(夏)
あなたが目をつぶって浮かんでくるその銭湯がそこにある。
独特の破風屋根。番台にはおじいさんが老眼鏡をかけて腰かけている。脱
衣所の床板はピカピカに磨き上げられ、マッサージ器が鎮座する。浴場に
入れば、高い天井に奥の壁には富士山が描かれ、湯船は3つ。いずれにも
おばあさんがつかっている。風呂からあがれば、冷蔵庫にはもちろんビン
のコーヒー牛乳だ。申し分ない。
3度目に訪れたときには、「この辺に住んでるの?」とニコニコと番台爺
に話し掛けられた。顔なじみの銭湯がある-そのステイタスは、ちょっと
かっこいいような気がする。
(夏)