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【2】知的バラエティコラム/本日も、風まかせ!(第34回)   坂本あおい
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胸おどる靴と太宰治

《地下足袋というものを、その時、それこそ生まれてはじめてはいてみたので
あるが、びっくりするほど、はき心地がよく、それをはいてお庭を歩いてみた
ら、鳥やけものが、はだしで地べたを歩いている気軽さが、自分にもよくわかっ
たような気がして、とても、胸がうづくほど、うれしかった。》

太宰治の『斜陽』を読んでいて、こんな一文にあたった。わかりますよ、その
気持ち。わたしも地下足袋やゴム長をはいて、雑草のしげる「お庭」を歩いた
ことがある。靴に土が入るのを嫌ったり、すべりやすい足もとを心配すること
なく、土に近い場所をガシガシ歩きまわれるあの気軽さ! このいきいきとし
た描写から察するに、太宰さんもきっと地下足袋経験者だろう。

小さい頃、わたしのお気に入りの一足は、黒い革の紐靴だった。まだ自分では
うまく結べなかったから、大人の前に足をポンとおいて、キュッと結んでもら
う。人によっては跪いて、膝に靴をおいて結んでくれた。うーん、快感。それ
はともかく、大人の力で結んでもらった紐靴は、足と一体化して、思わず駆け
出したくなるほど。これまた太宰さんにオススメしたい軽やかさだ。

ところで、太宰の実際の歩みが、軽やかとは程遠いものだったのはご存知のと
おり。それはWHOの経歴にもよくあらわれている。

東京帝大在学中は共産主義運動に関係したが脱退、自殺未遂事件をおこした。
同年都新聞の入社試験に落ちて自殺を図る。
11年作品集「晩年」を刊行するが、同年芥川賞の選に洩れ再び自殺未遂。
23年6月遺稿「グッド・バイ」を残して山崎富栄と共に玉川上水で入水自殺
を遂げた。
(データベース「WHOPLUS」より)

最後に入水自殺を遂げたとき、人生という鉛の靴を岸に脱いでいったのだろう
か? それはわからないが、調べたところ、上の入社試験後の自殺では、靴紐
で首をしめようとしらしい(紐が切れて未遂に)。靴紐にそんな使い道があっ
たとはね。太宰治の話をするとつい暗くなりがちだが、彼はこんなワクワクす
る文も書いている。

《私たちムスメが、それを身につけると、たまらなく海の見える砂丘に立って
みたくなるものです。旅行がしたくなって、たまらなくなるものです。きょう、
銀座のローヤルで見つけて、かえりにすぐ身につけて来ましたの。私、歩くの
が嬉しくって、楽しくって、自然に眼が足もとへいってしまうのです。もう、
おわかりでしょう。靴なのよ。》『俗天使』より

現ムスメ、元ムスメのみなさん、読んだだけでも胸おどりませんか? 軽やか
な秋靴を調達して、涼しい風を待ちたいものですね。

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