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【2】知的バラエティコラム/本日も、風まかせ!(第23回) 坂本あおい
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物議をかもす建築物
古都ウィーンの建築デザイン
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
今でこそパリのシンボルであるエッフェル塔だが、建設当初は、その奇抜なデ
ザインに大勢の人が眉をひそめたというのは有名な話だ。
わたしは以前、オーストリアのウィーンに住んだことがあるのだが、あの街に
もデザインの面で物議をかもし、のちに名所となった建物がいくつもある。装
飾的な建築が求められた時期と場所に、シンプルなデザインを貫いて酷評され
た通称「ロースハウス」。新しいところでは、シュテファン大聖堂の前という
伝統ある歴史地区に建てられた、ピカピカの鏡張りビル「ハースハウス」。古
い街並みを鏡にうつしこむことで、周囲との調和をはかるデザインなのだが、
1990年の建設当時には非難ごうごうだった。
さらにもうひとつ、「フンデルトヴァッサーハウス」という奇妙キテレツな建
物がある。外壁はチグハグな積み木を重ねたようで、不ぞろいな窓があき、あ
ちこちから樹木がはみでていて、さらには壁や床がうねっている。これがウィ
ーン市が建てた公営住宅というから、驚きだ。近くには建築家自身の美術館も
あって、直線ぎらいの彼のデザインを見る(というより「体験」する)ことが
できる。自由な発想でつくられたカラフルな建物はとても楽しいが、うねる床
というのは、想像以上に三半規管にきびしいものだった。
キテレツ建築家なり
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ところで、このキテレツ建築家フンデルトヴァッサーの経歴をWHOで見てみ
ると、こんなことが書いてある。近畿圏の人はよくご存知かもしれないが、じ
つは彼の建築作品は日本にもあるのだ。
フンデルトヴァッサー(画家、建築家、1928-2000)
「ウィーン幻想派の巨匠。【中略】絵画制作とともに、エコロジカル・アー
トの元祖的存在として環境問題へも積極的に発言し、また自然と共生する住
宅モデルも数多く発表。大阪市舞洲に建設のごみ焼却場をデザインし話題と
なった」
思い切った決断をするという意味では、大阪の行政もウィーンに負けていなかっ
たわけだ。彼の「人物文献」をみると
「遊園地?それとも回教のモスクかラブホテルか FOCUS 21(14) 2001.4.11
p38~39」
と工場を揶揄する見出しもあるが、わたしには、あんなブッ飛んだゴミ処理工
場をもつ大阪市民が、ちょっとうらやましい。市が彼にデザインを依頼した背
景には、オリンピック招致をめぐる思惑もあったようだが、それが空振りにお
わり、高額なデザイン料に非難の目がむいたとしても、建物自体は末永く大事
にしてほしいと思う。物議をかもした建築物は、ヨーロッパの例に示されると
おり、年を経るうちに多くの人に愛される名所となる可能性に満ちているはず
だ。
<編集部注>
大阪市のごみ焼却場:大阪市環境事業局舞洲工場のこと。事前申込をすれば、
中も見学できる。
(見学案内)
http://www.city.osaka.jp/kankyojigyo/sec04/kengaku.html
(パンフレット)
http://www.city.osaka.jp/kankyojigyo/sec08/pdf/p08_27maishima.pdf
【2】知的バラエティコラム/本日も、風まかせ!(第23回) 坂本あおい
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物議をかもす建築物
古都ウィーンの建築デザイン
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今でこそパリのシンボルであるエッフェル塔だが、建設当初は、その奇抜なデ
ザインに大勢の人が眉をひそめたというのは有名な話だ。
わたしは以前、オーストリアのウィーンに住んだことがあるのだが、あの街に
もデザインの面で物議をかもし、のちに名所となった建物がいくつもある。装
飾的な建築が求められた時期と場所に、シンプルなデザインを貫いて酷評され
た通称「ロースハウス」。新しいところでは、シュテファン大聖堂の前という
伝統ある歴史地区に建てられた、ピカピカの鏡張りビル「ハースハウス」。古
い街並みを鏡にうつしこむことで、周囲との調和をはかるデザインなのだが、
1990年の建設当時には非難ごうごうだった。
さらにもうひとつ、「フンデルトヴァッサーハウス」という奇妙キテレツな建
物がある。外壁はチグハグな積み木を重ねたようで、不ぞろいな窓があき、あ
ちこちから樹木がはみでていて、さらには壁や床がうねっている。これがウィ
ーン市が建てた公営住宅というから、驚きだ。近くには建築家自身の美術館も
あって、直線ぎらいの彼のデザインを見る(というより「体験」する)ことが
できる。自由な発想でつくられたカラフルな建物はとても楽しいが、うねる床
というのは、想像以上に三半規管にきびしいものだった。
キテレツ建築家なり
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ところで、このキテレツ建築家フンデルトヴァッサーの経歴をWHOで見てみ
ると、こんなことが書いてある。近畿圏の人はよくご存知かもしれないが、じ
つは彼の建築作品は日本にもあるのだ。
フンデルトヴァッサー(画家、建築家、1928-2000)
「ウィーン幻想派の巨匠。【中略】絵画制作とともに、エコロジカル・アー
トの元祖的存在として環境問題へも積極的に発言し、また自然と共生する住
宅モデルも数多く発表。大阪市舞洲に建設のごみ焼却場をデザインし話題と
なった」
思い切った決断をするという意味では、大阪の行政もウィーンに負けていなかっ
たわけだ。彼の「人物文献」をみると
「遊園地?それとも回教のモスクかラブホテルか FOCUS 21(14) 2001.4.11
p38~39」
と工場を揶揄する見出しもあるが、わたしには、あんなブッ飛んだゴミ処理工
場をもつ大阪市民が、ちょっとうらやましい。市が彼にデザインを依頼した背
景には、オリンピック招致をめぐる思惑もあったようだが、それが空振りにお
わり、高額なデザイン料に非難の目がむいたとしても、建物自体は末永く大事
にしてほしいと思う。物議をかもした建築物は、ヨーロッパの例に示されると
おり、年を経るうちに多くの人に愛される名所となる可能性に満ちているはず
だ。
<編集部注>
大阪市のごみ焼却場:大阪市環境事業局舞洲工場のこと。事前申込をすれば、
中も見学できる。
(見学案内)
http://www.city.osaka.jp/kankyojigyo/sec04/kengaku.html
(パンフレット)
http://www.city.osaka.jp/kankyojigyo/sec08/pdf/p08_27maishima.pdf
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