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【3】知的バラエティコラム/本日も、風まかせ!(第53回)    坂本あおい
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日本人が肉の洗礼にあう話

日本人は欧米人などに比べて腸が長く、そのため、肉よりも野菜や魚の消化に
適している、という俗説がある。真偽のほどは知らないが、たしかに、身体の
構造がちがうと実感させられることは多い。

以前、アルゼンチンを旅したのだが、あそこはまさに「肉の国」。ガイドブッ
クにある「わらじのように巨大なビーフステーキ」なるものに、期待と不安を
いだきつつ、現地に乗り込んだのだが――。いやいや、夜ごとテーブルに運ば
れてくるのは、わらじなんていう軟弱なものではなく、ラバーソールなみに分
厚いタフな肉だった。しかも、あちらの習慣で夕飯の時間が遅いために、空腹
のあまり体も胃もダレているところで、肉塊と戦わなければならないのだ。あ
れをペロリと平らげる地元の人たちの胃力たるや!

こうした肉の洗礼を受けて以来、身の丈ならぬ、腸の丈にあったメニューを慎
重に選ぶためにチマチマと知恵を絞るようになったわたしだが、一番いいのは、
とりあえずお店の人に相談することだ。自分の胃袋を指さして「こんなに小さ
い」とアピールすると、たいてい親身になってメニューをアドバイスしてくれ
るし、なぜかサービスが良くなることが多い。一度などは、お店のオーナーと
話がはずんで、一家で夕飯をご馳走になるという幸運もあった。それには、
ちょっとしたオマケもついたのだが――。

河岸をかえてオーナーと食後の一杯を楽しんでいるところに、「日本人旅行者
がゴネている」と店から連絡がはいった。駆けつけると、女の子4人が「だま
された」と言って目を三角にして怒っている。フィレンツェ名物の骨付きステー
キを頼んだはいいが、100グラム単位でいくら、というメニュー表示を見て、
各自が一皿ずつ注文してしまったのだ。しかし、やってきたのは600グラムほ
どの肉の塊が人数分と、そのぶんのお勘定。驚愕の肉を目の前にして、だまさ
れたという心境になったのも、無理はないのかもしれない。

ところで、肉の思い出にひたりつつ《WHO》で遊んでいるうちに、大正時代
に本場のソーセージの味を日本に伝えた「胃袋の宣教師」カール・レイモンと
いう人を見つけた。日本人女性との大恋愛、スパイ嫌疑などの苦難。なにやら
冒険の味がしそうだ。《近代日本の先駆者》によると、明治期には、片岡伊右
衛門が外国人から技術を習ってハム・ソーセージ作りをはじめたというし、ま
た、芥川が『鼻』で書いた「細長い腸詰めのような物が、ぶらりと顔のまん中
からぶら下って」というのが、西洋のソーセージのことだとすると、ソーセー
ジの存在自体は当時すでに知られたものだったのかもしれない。けれど一般庶
民に受け入れられ、そして、今も連綿とつづくレイモンさんの味とはいったい
どんなものなのだろう? 胃袋と好奇心を満たすためには、「お取り寄せ」を
してみるしかない?


◎ レイモン,カール(ハム・ソーセージ職人)
1894年オーストリア・ハンガリー帝国(現・チェコ領)生まれ 1987年没
父親の仕事を受け継いで食肉製造の道に入る。第一次大戦の従軍経験から欧州
統合の必要性を感じ、のち故郷やベルリンで執筆、演説活動を行う。1919年米
国からの帰途日本に立ち寄り、銀座の缶詰会社に勤務。函館を訪れ、帰国後函
館で知り合った日本人女性と結婚。'25年妻とともに再訪して大野町にハム・
ソーセージ工場を建てる。戦時中は工場の強制買収やスパイ嫌疑などの苦難を
経験。戦後レイモン・ハム・ソーセージ製造所を函館市元町で再開。 '83年に
現役を退き、翌年西ドイツに帰ったが、半年後には函館に戻り永住の地とした。
(WHOPLUSより)

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