人物・文献情報データベースWHOPLUSの“人物”をテーマにしたブログです!
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
-------------------------------------------------------------------------
【2】知的バラエティコラム/本日も、風まかせ!(第44回) 坂本あおい
-------------------------------------------------------------------------
カラス、イロイロ
ある朝、やけにカラスが騒がしい。
電線に、電柱に、屋根に、塀に、あらゆるところに止まって、さかんに鳴きし
きっている。なにか異変でもあったのか、と思ったが、なんのことはない、あ
るマナーの悪い家のゴミが散乱しているだけだった。それにしても彼らは、あ
あいうときに「なぜ鳴くの」だろう? 餌を見つけても黙って食べれば、分け
前を減らさずにすむと思うのだけど。あの賢いといわれる頭でどんなことを考
えているのか、できることなら聞いてみたいものだ。
ところで、カラスとの交流といえば、こんな心温まるエピソードがある。
有名なオーストリアの動物行動学者コンラート・ローレンツは一羽のカラスに
とてもなつかれてしまった。カラスは博士に求愛して、口移しで虫をプレゼン
トしようとする。博士が必死に口をとじていると、仕方がないので今度は耳に
詰め込もうとしたそうだ。この愛らしいカラスはコクマルカラスという種類ら
しい。
そういえば、わたしにとってアニメ『あらいぐまラスカル』のカラスのポーも
気になる存在だった。ラスカルのライバルで、光るものを失敬する手癖の悪い
カラスだ。原作の『はるかなるわがラスカル』は著者スターリングの実体験に
基づいているらしいので、カラスのポーもきっと実在したのだろう。ちなみに
アニメのほうは今年で放映30周年をむかえ、今でも根強い人気があるらしい。
記念のイベントもひらかれているようなので、興味のある方はどうぞ。
さて、わが日本にもすばらしいカラスのキャラクターが存在する。古川日出男
の小説『サウンドトラック』に登場するクロイだ。熱帯と化した東京の神楽坂
を根城とするハシブトガラス(=jungle crow)。このクロイは愛しいと同時に
崇高さすら感じさせる存在で、カアカアではなく、「カ!」とか「ガ!」と鳴
く。カラス好きを自負する人ならシビレること請け合いだ。この小説には、べ
つの地底カラスも登場し、しまいに「アリャナンダ?」と鳴きだして……。
都会の嫌われ者のカラスだが、カラスの飛ばない空を想像してみると、それは
それで淋しいものがある。カラスたちが某知事を怒らせてミートパイにされて
しまうまえに、うまい共存の仕方が見つかるといいのだけれど。
◎ ローレンツ,コンラート(動物行動学者)
1940年よりアルベルトゥス大学比較心理学教授、第二次大戦中は軍医として従
軍し、ソ連軍捕虜となるが、'48年帰国。'49年アルテンブルクに比較行動学研
究所を設立。マックス・プランク行動生理学研究所所長を経てオーストリア科
学アカデミー行動研究所動物心理学部長。'81年同アカデミーにコンラート・
ローレンツ研究所を設立。コクマルガラス、ハイイロガンなど鳥の行動を詳細
に研究、近代動物行動学(エソロジー)の領域を開拓した。
◎ ノース,スターリング(動物文学作家)
新聞記者から文芸編集者として活躍したのち作家生活に入った。少年時代にア
ライグマと暮らしたときの回想記を「はるかなるわがラスカル」として発表、
各種賞などを受け、以後14ケ国語に翻訳される。
◎ 古川日出男(小説家)
雑誌編集のかたわら、演劇の脚本・演出に携わる。のちゲームソフト・ウィザー
ドリィのイベント演出や、同ゲームのノベライズを手掛ける。平成10年「13」
で小説家デビュー、幻想的な作風で注目を集める。
(WHOPLUSより)
【2】知的バラエティコラム/本日も、風まかせ!(第44回) 坂本あおい
-------------------------------------------------------------------------
カラス、イロイロ
ある朝、やけにカラスが騒がしい。
電線に、電柱に、屋根に、塀に、あらゆるところに止まって、さかんに鳴きし
きっている。なにか異変でもあったのか、と思ったが、なんのことはない、あ
るマナーの悪い家のゴミが散乱しているだけだった。それにしても彼らは、あ
あいうときに「なぜ鳴くの」だろう? 餌を見つけても黙って食べれば、分け
前を減らさずにすむと思うのだけど。あの賢いといわれる頭でどんなことを考
えているのか、できることなら聞いてみたいものだ。
ところで、カラスとの交流といえば、こんな心温まるエピソードがある。
有名なオーストリアの動物行動学者コンラート・ローレンツは一羽のカラスに
とてもなつかれてしまった。カラスは博士に求愛して、口移しで虫をプレゼン
トしようとする。博士が必死に口をとじていると、仕方がないので今度は耳に
詰め込もうとしたそうだ。この愛らしいカラスはコクマルカラスという種類ら
しい。
そういえば、わたしにとってアニメ『あらいぐまラスカル』のカラスのポーも
気になる存在だった。ラスカルのライバルで、光るものを失敬する手癖の悪い
カラスだ。原作の『はるかなるわがラスカル』は著者スターリングの実体験に
基づいているらしいので、カラスのポーもきっと実在したのだろう。ちなみに
アニメのほうは今年で放映30周年をむかえ、今でも根強い人気があるらしい。
記念のイベントもひらかれているようなので、興味のある方はどうぞ。
さて、わが日本にもすばらしいカラスのキャラクターが存在する。古川日出男
の小説『サウンドトラック』に登場するクロイだ。熱帯と化した東京の神楽坂
を根城とするハシブトガラス(=jungle crow)。このクロイは愛しいと同時に
崇高さすら感じさせる存在で、カアカアではなく、「カ!」とか「ガ!」と鳴
く。カラス好きを自負する人ならシビレること請け合いだ。この小説には、べ
つの地底カラスも登場し、しまいに「アリャナンダ?」と鳴きだして……。
都会の嫌われ者のカラスだが、カラスの飛ばない空を想像してみると、それは
それで淋しいものがある。カラスたちが某知事を怒らせてミートパイにされて
しまうまえに、うまい共存の仕方が見つかるといいのだけれど。
◎ ローレンツ,コンラート(動物行動学者)
1940年よりアルベルトゥス大学比較心理学教授、第二次大戦中は軍医として従
軍し、ソ連軍捕虜となるが、'48年帰国。'49年アルテンブルクに比較行動学研
究所を設立。マックス・プランク行動生理学研究所所長を経てオーストリア科
学アカデミー行動研究所動物心理学部長。'81年同アカデミーにコンラート・
ローレンツ研究所を設立。コクマルガラス、ハイイロガンなど鳥の行動を詳細
に研究、近代動物行動学(エソロジー)の領域を開拓した。
◎ ノース,スターリング(動物文学作家)
新聞記者から文芸編集者として活躍したのち作家生活に入った。少年時代にア
ライグマと暮らしたときの回想記を「はるかなるわがラスカル」として発表、
各種賞などを受け、以後14ケ国語に翻訳される。
◎ 古川日出男(小説家)
雑誌編集のかたわら、演劇の脚本・演出に携わる。のちゲームソフト・ウィザー
ドリィのイベント演出や、同ゲームのノベライズを手掛ける。平成10年「13」
で小説家デビュー、幻想的な作風で注目を集める。
(WHOPLUSより)
PR
Comment