人物・文献情報データベースWHOPLUSの“人物”をテーマにしたブログです!
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【2】知的バラエティコラム/本日も、風まかせ!(第40回) 坂本あおい
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1928(イチキュウニイハチ)
このほどバート・バカラック翁の「メモリアル・コンサート」というものを聴
きにいった。「メモリアル」とは、ちょっと縁起でもない感じもするが、御年
80歳の記念とのこと。バカラックといえば、わたしにとっては昔の人というイ
メージだった。たとえばピカソのように、わりと最近まで生きていた歴史的有
名人という感じだ。それがまだピンシャンとして活躍しておられるとは! わ
たしはコンサートがあるという情報を耳にするや、是非ともこの機にナマで見
ておかねばと思った。
名前を聞いてピンとこない方も、テレビや映画などをつうじて、おそらく数え
切れないほどバカラックの作品を耳にしていることだろう。それほど日常にと
けこんだ作曲家なのだ。なにげなく曲を聞いていて、「たまに悲しいことを言
うし疲れた顔もするけど、根は陽気で前向きなアメリカ人」を連想したとき、
あるいは、リズムや調子がふいに変わって、おふざけで肩透かしをくらわされ
たような楽しい気分がしたとき、それはバカラックの音楽かもしれない。
◎ Bacharach,Burt (20世紀)
アメリカのポピュラー音楽作曲家。『明日に向って撃て!』(1969年)の主題歌
『雨にぬれても』でアカデミー音楽賞を受賞。
(WHOPLUS「人物レファレンス事典」より)
ところで、さっき「ピンシャン」と書いたが、じつはその描写は的確ではない。
ステージ上のバカラック翁は若々しいというより、若かった。ピアノを弾いた
と思ったら、立ちあがってオケを指揮し、また中腰で鍵盤をたたいて、アンニュ
イな歌声を聞かせ、曲が終われば女性ヴォーカルをがっしりとハグする。八面
六臂の活躍。余裕の色男ぶりである。80年も生きているというのに、まったく
なんていうことだ。
彼が生まれたのは1928年。昭和でいえば、ヒトケタ世代だ。ミッキーマウスが
この世にはじめてお目見得した年でもある。ついでに、哲学者であるわたしの
父もその年に生まれた。百大という妙な名前が古めかしく感じられるのか、
「まだ生きてるの?」と驚かれることがあるのだが、飲み歩ける程度に元気だ。
バカラックのような颯爽とした雰囲気が皆無なのが悲しいところではあるが。
WHOPLUSによれば、同い年はほかにかつてマドンナ旋風を巻き起こした、
もと社民党党首の土井たか子さん、「世界の旅」でおなじみの兼高かおるさん、
近年では政治関連の著書も目立つ言語学者のチョムスキー氏、映画「日の名残
り」のジェームズ・アイボリー監督など。80歳とは、歴史と今との両方を背負っ
た貴重な世代といえそうだ。
【2】知的バラエティコラム/本日も、風まかせ!(第40回) 坂本あおい
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1928(イチキュウニイハチ)
このほどバート・バカラック翁の「メモリアル・コンサート」というものを聴
きにいった。「メモリアル」とは、ちょっと縁起でもない感じもするが、御年
80歳の記念とのこと。バカラックといえば、わたしにとっては昔の人というイ
メージだった。たとえばピカソのように、わりと最近まで生きていた歴史的有
名人という感じだ。それがまだピンシャンとして活躍しておられるとは! わ
たしはコンサートがあるという情報を耳にするや、是非ともこの機にナマで見
ておかねばと思った。
名前を聞いてピンとこない方も、テレビや映画などをつうじて、おそらく数え
切れないほどバカラックの作品を耳にしていることだろう。それほど日常にと
けこんだ作曲家なのだ。なにげなく曲を聞いていて、「たまに悲しいことを言
うし疲れた顔もするけど、根は陽気で前向きなアメリカ人」を連想したとき、
あるいは、リズムや調子がふいに変わって、おふざけで肩透かしをくらわされ
たような楽しい気分がしたとき、それはバカラックの音楽かもしれない。
◎ Bacharach,Burt (20世紀)
アメリカのポピュラー音楽作曲家。『明日に向って撃て!』(1969年)の主題歌
『雨にぬれても』でアカデミー音楽賞を受賞。
(WHOPLUS「人物レファレンス事典」より)
ところで、さっき「ピンシャン」と書いたが、じつはその描写は的確ではない。
ステージ上のバカラック翁は若々しいというより、若かった。ピアノを弾いた
と思ったら、立ちあがってオケを指揮し、また中腰で鍵盤をたたいて、アンニュ
イな歌声を聞かせ、曲が終われば女性ヴォーカルをがっしりとハグする。八面
六臂の活躍。余裕の色男ぶりである。80年も生きているというのに、まったく
なんていうことだ。
彼が生まれたのは1928年。昭和でいえば、ヒトケタ世代だ。ミッキーマウスが
この世にはじめてお目見得した年でもある。ついでに、哲学者であるわたしの
父もその年に生まれた。百大という妙な名前が古めかしく感じられるのか、
「まだ生きてるの?」と驚かれることがあるのだが、飲み歩ける程度に元気だ。
バカラックのような颯爽とした雰囲気が皆無なのが悲しいところではあるが。
WHOPLUSによれば、同い年はほかにかつてマドンナ旋風を巻き起こした、
もと社民党党首の土井たか子さん、「世界の旅」でおなじみの兼高かおるさん、
近年では政治関連の著書も目立つ言語学者のチョムスキー氏、映画「日の名残
り」のジェームズ・アイボリー監督など。80歳とは、歴史と今との両方を背負っ
た貴重な世代といえそうだ。
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