人物・文献情報データベースWHOPLUSの“人物”をテーマにしたブログです!
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
-------------------------------------------------------------------------
【2】知的バラエティコラム/本日も、風まかせ!(第20回) 坂本あおい
-------------------------------------------------------------------------
『かわいい猫、そうでない猫』
話題の藤田嗣治展にいってきた(※)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
つややかな「乳白色の肌」は聞きしに勝る美しさ。これだけでも大満足と思
ったが、めくるめく藤田ワールドはまだまだ終わらない。次にわたしを釘づけ
にしたのは《猫》(1940年)という絵だった。この作品の主役は、闘争する1
4匹の猫。組んず解れつ、跳びあがったり、ひっくり返ったりしている猫の動
きは、しなやかで迫力があり、また表情があってどこか鳥獣戯画のようにユー
モラスだった。藤田の作品にはたくさんの猫が登場する。当然のように膝にの
っている猫、裸婦の隣でまどろむ猫。ドテッとした猫、グニャッとした猫。ど
の絵にも、猫好きにはたまらない味わいがある。WHOPLUSで調べてみる
と、こんな本が出ていることがわかった。これは面白そうだ。
◆『猫の本―藤田嗣治画文集』(講談社)
エコール・ド・パリの巨匠が描いた猫たちが初めて一冊に。
フジタの猫たち130匹余!画集未収録作品を中心に約90点の
猫の絵とエッセイ。
2003.7.17 95p 24×19cm ¥3,000(税別) ISBN4-06-211844-0
鳥獣戯画タッチの猫といえばもう一人、思い出す画家がいる
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
イギリスのルイス・ウェイン(1860-1939)だ。知人がウェインの絵につい
て熱く語るのを聞いて、はじめて名前を知ったのだけど、じつは、わたしにと
ってそれはウェインとの三度目の出会いだった。
彼の描く擬人化された猫の絵は、カレンダーや絵はがきなどに使われ、広く
人気を集めていたそうだ。わたしも10年ほど前のロンドンで、その一つと出
会った。にぎやかでかわいい絵だと思ってカードを数枚買ったのだが、いま見
返してみると、どの猫もあんがい意地悪な顔をしている。それでも、人間のよ
うにふるまう猫の絵には、どこかほうっておけない魅力があるのだ。
けれどもウェインを有名にしたのは、その擬人猫のうまさだけではなかった。
彼は晩年精神を病むのだが、入院してからもずっと猫の絵を描きつづけた。し
かしその絵は次第にどぎつく幾何学的になり、最後にはたんなる模様となる。
その変化は、統合失調症の進行を示していると解釈され、多くの心理学の本に
載ることになった。この毒々しい絵のほうこそ、わたしとウェインとの最初の
出会いだ。数年前にウェイン好きの知人の話を聞くまで、この恐ろしい猫と、
カードに描かれた滑稽な猫が、同一人物の手によるものだとは気づかなかった。
ところで、いま、わたしの中にも猫がいる。その名は筋肉猫(ムスケルカー
ター)。ドイツ語で筋肉痛という意味だ。極度の運動不足のため、ちょっと重
いものを持っただけで、たちまちコイツが腕にやってくる。ふだんはただの猫
(カーター)がいることが多い。こっちは二日酔いという意味。どちらも主張
ばかりがはげしい、かわいげのないヤツだ。
【2】知的バラエティコラム/本日も、風まかせ!(第20回) 坂本あおい
-------------------------------------------------------------------------
『かわいい猫、そうでない猫』
話題の藤田嗣治展にいってきた(※)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
つややかな「乳白色の肌」は聞きしに勝る美しさ。これだけでも大満足と思
ったが、めくるめく藤田ワールドはまだまだ終わらない。次にわたしを釘づけ
にしたのは《猫》(1940年)という絵だった。この作品の主役は、闘争する1
4匹の猫。組んず解れつ、跳びあがったり、ひっくり返ったりしている猫の動
きは、しなやかで迫力があり、また表情があってどこか鳥獣戯画のようにユー
モラスだった。藤田の作品にはたくさんの猫が登場する。当然のように膝にの
っている猫、裸婦の隣でまどろむ猫。ドテッとした猫、グニャッとした猫。ど
の絵にも、猫好きにはたまらない味わいがある。WHOPLUSで調べてみる
と、こんな本が出ていることがわかった。これは面白そうだ。
◆『猫の本―藤田嗣治画文集』(講談社)
エコール・ド・パリの巨匠が描いた猫たちが初めて一冊に。
フジタの猫たち130匹余!画集未収録作品を中心に約90点の
猫の絵とエッセイ。
2003.7.17 95p 24×19cm ¥3,000(税別) ISBN4-06-211844-0
鳥獣戯画タッチの猫といえばもう一人、思い出す画家がいる
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
イギリスのルイス・ウェイン(1860-1939)だ。知人がウェインの絵につい
て熱く語るのを聞いて、はじめて名前を知ったのだけど、じつは、わたしにと
ってそれはウェインとの三度目の出会いだった。
彼の描く擬人化された猫の絵は、カレンダーや絵はがきなどに使われ、広く
人気を集めていたそうだ。わたしも10年ほど前のロンドンで、その一つと出
会った。にぎやかでかわいい絵だと思ってカードを数枚買ったのだが、いま見
返してみると、どの猫もあんがい意地悪な顔をしている。それでも、人間のよ
うにふるまう猫の絵には、どこかほうっておけない魅力があるのだ。
けれどもウェインを有名にしたのは、その擬人猫のうまさだけではなかった。
彼は晩年精神を病むのだが、入院してからもずっと猫の絵を描きつづけた。し
かしその絵は次第にどぎつく幾何学的になり、最後にはたんなる模様となる。
その変化は、統合失調症の進行を示していると解釈され、多くの心理学の本に
載ることになった。この毒々しい絵のほうこそ、わたしとウェインとの最初の
出会いだ。数年前にウェイン好きの知人の話を聞くまで、この恐ろしい猫と、
カードに描かれた滑稽な猫が、同一人物の手によるものだとは気づかなかった。
ところで、いま、わたしの中にも猫がいる。その名は筋肉猫(ムスケルカー
ター)。ドイツ語で筋肉痛という意味だ。極度の運動不足のため、ちょっと重
いものを持っただけで、たちまちコイツが腕にやってくる。ふだんはただの猫
(カーター)がいることが多い。こっちは二日酔いという意味。どちらも主張
ばかりがはげしい、かわいげのないヤツだ。
PR
Comment