人物・文献情報データベースWHOPLUSの“人物”をテーマにしたブログです!
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
-------------------------------------------------------------------------
【2】知的バラエティコラム/本日も、風まかせ!(第17回) 坂本あおい
-------------------------------------------------------------------------
『30歳をむかえる人への10の質問』
ずいぶん昔の話になるけれど、男性誌『GQ』が「30歳までに経験してお
くべき101の事柄」という特集を組んだことがあった。経験すべきこと10
1にくわえ、読むべき本、聴くべき音楽、見るべき映画がリストアップされて
いるという、充実の一冊。わたしは当時まだ20代前半だったから、ヒジョー
にのんきな気持ちで楽しく読んだものだった。
ところが、30歳に近づくにつれて、その特集がチラチラと脳裡によみがえ
ってわたしを刺激するのだ。とくに、世界的スターや政治家などの30代を紹
介した写真記事は、わたしを激しくあせらせた。記事によると、みんなその頃
にはすでに有名だったか、それなりの下地を築いていた。それにひきかえ、わ
たしはどうだ?
考えてみれば、モーツァルトは30歳で『フィガロの結婚』を完成させた。
樋口一葉は30なんて悠長なことでなく、24年の生涯のうちに多くの傑作を
残している。30歳とは、ガンバリや才能によっては、けっこうなことが成し
遂げられる年齢なのだ。
そんなことを思っているうちに、どんどん「30歳過敏症」に陥っていった
のだけど、結局のところわたしにはガンバリも才能もなく、トコロテンが押し
出されるように、あれよという間に20代と30代の境目をチュルッとまたい
でいた。と同時に「30歳過敏症」という通過儀礼もおわったようで、以来、
なんにも悩まなくなった。めでたし、めでたし。
ところで、今年30歳をむかえる男性(1976生まれ)にはどんな人がい
るだろう? WHOによると、こんな面々だ(敬称略で失礼します):シュー
ルな衣装のソプラニスタ岡本知高、涙袋がセクシーなオダギリジョー、宙を舞
う姿にわたしも惚れたバレーボールの加藤陽一、薬害エイズ問題と闘う元青年
川田龍平、「天国の階段」でお茶の間を魅了したクォン・サンウ、それから千
代大海、はなわ、山本耕史、格闘家W・シウバ、サッカーのロナウド等々。
こうしたみなさんは各方面ですでに実績のある人たちだけれど、では『GQ
』のいう「経験しておくべきこと」は、もう経験しただろうか? 洗濯物をマ
マのところへ持っていっていませんか? 失恋はしました? タイトなレザー
・パンツは二度とはかない決心はしましたか? 詩を書いたことは? ベッド
で縛られたことはありますか? 兄弟姉妹とどうしゃべったらよいか学びまし
たか? 自分の酒量の限界がわかりましたか? 『第三の男』は見ました?
じゃあ『山猫』は? グールドの弾くゴールドベルク変奏曲は聴きましたか?
ちなみに『GQ』のリストのうち、わたしが30までに経験したことをチェ
ックしてみると、車を廃棄処分にする、父親と飲んで酔っぱらう、浪費してク
レジット・カードを取り上げられる……。ええと、わたしは立派に30歳をむ
かえたと胸をはっていいのでしょうか?
【2】知的バラエティコラム/本日も、風まかせ!(第17回) 坂本あおい
-------------------------------------------------------------------------
『30歳をむかえる人への10の質問』
ずいぶん昔の話になるけれど、男性誌『GQ』が「30歳までに経験してお
くべき101の事柄」という特集を組んだことがあった。経験すべきこと10
1にくわえ、読むべき本、聴くべき音楽、見るべき映画がリストアップされて
いるという、充実の一冊。わたしは当時まだ20代前半だったから、ヒジョー
にのんきな気持ちで楽しく読んだものだった。
ところが、30歳に近づくにつれて、その特集がチラチラと脳裡によみがえ
ってわたしを刺激するのだ。とくに、世界的スターや政治家などの30代を紹
介した写真記事は、わたしを激しくあせらせた。記事によると、みんなその頃
にはすでに有名だったか、それなりの下地を築いていた。それにひきかえ、わ
たしはどうだ?
考えてみれば、モーツァルトは30歳で『フィガロの結婚』を完成させた。
樋口一葉は30なんて悠長なことでなく、24年の生涯のうちに多くの傑作を
残している。30歳とは、ガンバリや才能によっては、けっこうなことが成し
遂げられる年齢なのだ。
そんなことを思っているうちに、どんどん「30歳過敏症」に陥っていった
のだけど、結局のところわたしにはガンバリも才能もなく、トコロテンが押し
出されるように、あれよという間に20代と30代の境目をチュルッとまたい
でいた。と同時に「30歳過敏症」という通過儀礼もおわったようで、以来、
なんにも悩まなくなった。めでたし、めでたし。
ところで、今年30歳をむかえる男性(1976生まれ)にはどんな人がい
るだろう? WHOによると、こんな面々だ(敬称略で失礼します):シュー
ルな衣装のソプラニスタ岡本知高、涙袋がセクシーなオダギリジョー、宙を舞
う姿にわたしも惚れたバレーボールの加藤陽一、薬害エイズ問題と闘う元青年
川田龍平、「天国の階段」でお茶の間を魅了したクォン・サンウ、それから千
代大海、はなわ、山本耕史、格闘家W・シウバ、サッカーのロナウド等々。
こうしたみなさんは各方面ですでに実績のある人たちだけれど、では『GQ
』のいう「経験しておくべきこと」は、もう経験しただろうか? 洗濯物をマ
マのところへ持っていっていませんか? 失恋はしました? タイトなレザー
・パンツは二度とはかない決心はしましたか? 詩を書いたことは? ベッド
で縛られたことはありますか? 兄弟姉妹とどうしゃべったらよいか学びまし
たか? 自分の酒量の限界がわかりましたか? 『第三の男』は見ました?
じゃあ『山猫』は? グールドの弾くゴールドベルク変奏曲は聴きましたか?
ちなみに『GQ』のリストのうち、わたしが30までに経験したことをチェ
ックしてみると、車を廃棄処分にする、父親と飲んで酔っぱらう、浪費してク
レジット・カードを取り上げられる……。ええと、わたしは立派に30歳をむ
かえたと胸をはっていいのでしょうか?
PR
Comment