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  ■ 知的バラエティコラム/本日も、風まかせ!(第16回)  坂本あおい
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 『発禁の誘惑』

  「発禁」とは、なにやらそそられる言葉である。読んではいけないといわれれ
 ば、ますます読みたくなる。これ、人の常。しかもなにやら淫らなイメージがつ
 いてまわる言葉でもあり、ひょっとしたら、自分がいままで知らなかった世界が
 そこにあるのかもしれない、と胸が高鳴ったりする。
  わたしの記憶にあたらしいところでは、中国の若手女流作家・衛慧が書いた『
 上海ベイビー』という本があった。「中国で発禁」といううたい文句はその本に
 魔法の力をあたえ、作品はまたたくまに数ヶ国語に翻訳されて日本でもヒットを
 記録した。じっさい、おどろくほどの内容ではなかったけれど、「色」というよ
 り「肉」的な性描写(しかも若い娘が書いた!)は、たしかに淫らではあった。

  ところが、長い歴史に目をむけてみると、「発禁」は淫らとは関係のないもの
 のほうが多いようにも思える。では、近年ではどうなのだろうか? ということ
 でWHOで調査だ(キーワード:発禁、生年:1930~)。出てきた検索結果
 43件のなかから、理由がズバリ書いてある文のみを適当にひろってみよう。自
 主規制、差し止めなど、「禁」にもいろいろあるけれど、お遊びなので、この際
 それらは無視だ。

   アルバム「マギス」は共産党を連想させるという理由で発禁(インドネ
   シア)/「琉大文学」を創刊したが、反米的なため発禁処分(日本)/
   '96年中国政府の“精神文明キャンペーン”で作品が批判の対象となり、
   発禁(中国)/故国の姿を赤裸々に描いた点と大胆な性描写が主要な原
   因となって、作品のほとんどが祖国では発禁(アイルランド)/独裁体
   制下で発禁(スペイン)/チャウシェスク体制に批判的な作品が多いと
   して'86年発禁処分(ルーマニア)......
 
  WHOのデータを読んだかぎりだと、やはり政治的理由による発禁が圧倒的に
 多かった。上にあげた以外でも、韓国、南ア、イラン、スリランカ、ミャンマー、
 カメルーンの作家・詩人などのデータがあり、読んでみると各国の価値観や横暴
 な政治体制が透けてみえてきて、けっこう面白い。一番やりたい放題な感がある
 のは、やはり中国。さすがだ。

  ところで、「人物ファイル横断」で「発禁」を検索してみると、著書・著者情
 報が3件ヒットする。じつはそのうちの一冊『中国農民調査』をわたしはすでに
 入手ずみだ。あとがきによると、中国のタブーを実名入りで浮き彫りにしたこの
 本はマスコミを巻き込んでの大反響を呼んだが、3ヶ月で共産党から発禁処分を
 受け、徹底的に「抹殺」されたという。さてさて。のぞき趣味の血が騒ぎます。
 淫らであってもそうでなくても、「発禁」の言葉にめっぽう弱いわたしなのです。

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